乳幼児に胃腸炎起こすロタウイルス、大人も注意
2014年02月05日 06:00
冬は"おなかの風邪"と呼ばれる感染性胃腸炎が増えるが、その原因の一つがロタウイルス。ノロウイルスの流行が終わる頃にはやり始め、ピークは2~4月頃といわれている。嘔吐(おうと)と下痢が主な症状で、発症するのはほとんどが乳幼児。感染力は強い。大人になると免疫ができるため感染しても発症しなかったり、軽症で済むことが多いが、子供にうつしてしまう恐れがある。また、体調を崩すなど免疫力が落ちると、子供のように症状が重くなる場合があるという。ロタウイルス感染性胃腸炎について、順天堂大学医学部(東京都)小児科の清水俊明主任教授に聞いた。
便や嘔吐物から感染
乳幼児の感染性胃腸炎は、冬に起こりやすいため冬季下痢症ともいわれる。原因となるウイルスは、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど。ロタウイルスは1月頃から増え始め、ピークは2~4月。感染した人の便や嘔吐物によって、人を介して口から感染するケースが多い。
清水主任教授は「ノロウイルスは感染しても免疫はできにくいが、ロタウイルスは一度感染すると免疫ができる。このため急性胃腸炎は、免疫のない乳幼児に多く見られる」と話す。
ただ、免疫ができても感染しないわけではなく、症状が出なかったり、軽かったりするだけ。感染すれば当然、ウイルスを持っている状態になり、そのままで子供に接すれば感染させてしまう恐れがある。乳幼児に接する場合は注意が必要だ。また、体力が落ちたり、風邪をひいたりして免疫力が下がっている状態では、大人でも重症化する恐れがあるようだ。
予防ワクチンある
嘔吐と下痢が主な症状だが、効果的な薬はない。問題となるのは命に関わる脱水で、水分補給が欠かせない。また、のみ込んだ食べ物が気管内に入ってしまう誤嚥(ごえん)にも注意が必要だ。
「下痢や嘔吐があると水分を控えるお母さんもいますが、脱水を防ぐため少しずつ水分補給をしてあげることが大切です。嘔吐は通常、1~2日で治まります。ただし、口の中が乾燥している、尿量が少ないなどは脱水の兆候なので、これらに気付いたときには迷わず小児科に連れて行ってください」(清水主任教授)
中には、栄養補給のための点滴が必要なケースもある。症状が治まれば幼児の場合、日常生活ではおかゆなど消化の良い食べ物をあげる。また授乳期の赤ちゃんは、母乳・人工乳ともそのまま授乳しても構わない。
予防には、手洗いをしっかりと行い、服やタオルに嘔吐物が付いた場合はきちんと洗濯すること。おもちゃなどにもウイルスが潜んでいる可能性がある。また、ワクチンがあるので、希望する場合はかかりつけの小児科医に相談を。
(編集部)