新しい骨粗鬆症の薬を解説―神戸大リウマチ教室
2014年03月28日 06:00
関節リウマチ患者は骨が脆くなり骨折しやすくなる骨粗鬆症を合併することが多く、骨粗鬆症の治療薬を必要とするケースが少なくない。1月30日に開催された神戸大学の整形外科リウマチ教室「2014年、今年のリウマチ治療の展望」では、同科の三浦靖史准教授が新しい骨粗鬆症治療薬について解説した。選択肢が増え、飲みやすさや使いやすさも向上したという。
生物学的製剤も登場
骨では、骨を作ること(骨形成)と骨を壊すこと(骨吸収)がバランス良く繰り返されているが、バランスが崩れて骨がもろくなっている状態を骨粗鬆症という。骨粗鬆症の治療薬のうち、現在広く使われているビスホスホネート製剤は、骨吸収を抑えることで骨を維持する作用を持っている。
そのビスホスホネート製剤に、飲みやすさや使いやすさの工夫が施されたものが新たに登場した。4週間に1回注射するボンビバ(一般名イバンドロン酸ナトリウム)、骨粗鬆症治療薬では初めてのゼリー剤であるボナロンゼリー(同アレンドロン酸ナトリウム)、アクトネル、ベネット(ともに同リセドロン酸ナトリウム)の月1回の飲み薬だ。
骨粗鬆症の治療薬にも生物学的製剤が登場した。抗RANKL抗体製剤のプラリア(一般名デノスマブ)だ。この薬は骨を壊す骨吸収の主役である破骨細胞に作用し、6カ月に1回の皮下注射をする。プラリアはこれまでも、多発性骨髄腫やがんの骨への転移による骨折などを防ぐために使われており、新薬とはいってもすでに使用実績のある薬だ。
骨作りを促す薬も
フォルテオとテリボン(ともに一般名テリパラチド)は、ビスホスホネート製剤やプラリアとは逆に、骨を作る骨形成を促進する副甲状腺ホルモン製剤だ。
フォルテオは1日1回の皮下注射用の薬で、自宅で自分で注射すること(在宅自己注射)ができる。なお、使用期間は2年間と定められている。テリボンは週1回、病院や診療所で受ける皮下注射で、注射を受ける回数は72回まで(1年半)と定められている。
このように、飲み薬が使いづらい人には注射剤や飲みやすさが向上したゼリー剤、在宅自己注射や医療機関で受ける注射剤など、治療の選択肢が増えている。「使いやすさや飲みやすさなど、ライフスタイルや好みに応じた選択肢が増えているので、それぞれの薬のメリットとデメリット、使い方の注意点について主治医とよく相談して治療を受けてください」と三浦准教授は伝えた。
(長谷川 愛子)
神戸大学 整形外科リウマチ教室
神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。