貧血の経験者は突発性難聴になりやすい―台湾研究
2014年04月01日 10:30
突然、耳が聞こえづらくなる突発性難聴。原因は不明で、厚生労働省の特定疾患に指定されているが、一般的な貧血(鉄欠乏性貧血)になったことがある人はこの難病にかかりやすいという研究結果が、台湾の研究グループから3月13日発行の米医学誌「JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery」(電子版)に報告された。台湾・亜東記念医院のShiu-Dong Chung氏らによると、鉄欠乏性貧血の経験者は、そうでない人と比べて突発性難聴にかかる危険性が最大で1.91倍だったという。なおこれまで、赤血球の形が鎌のようになって起こる遺伝性の貧血、鎌状赤血球症で突発性難聴との関連が報告されている。(関連記事:閉塞性睡眠時無呼吸の男性患者は難聴になりやすい)
44歳以下で最も強く関連
貧血の約半数を占める鉄欠乏性貧血(以下、貧血)は、体の中の鉄分が足りなくなって起こる病気。食事での鉄分不足だけでなく、出血も引き金となる。月経で定期的に出血する女性で多いのはそのためだ。一方、男性では女性と比べ、何らかの病気が隠れている可能性が高いという(関連記事:がんが隠れていることも、男性の鉄欠乏性貧血)。
Chung氏らは今回、台湾のデータベースから2001年1月1日~11年12月31日に突発性難聴と診断された18歳以上の患者4,004人と健康な1万2,012人をランダムに選び、貧血との関連を調べた。
その結果、貧血になったことがある人は全体の3.3%(533人)で、突発性難聴グループの4.3%(172人)、健康グループの3.0%(361人)と、突発性難聴の患者で多かった。
月収、地域、合併症などの影響を除外したところ、貧血になったことがある割合は、突発性難聴グループで健康グループの1.34倍。この関連は60歳以下で強く、特に、44歳以下で1.91倍と最も多かった。一方、年齢が上がるごとに関連が弱くなり、66歳以上では健康グループとの差がなくなったという。
Chung氏らは「今回の研究結果をもとに、貧血になったことがある人、特に60歳未満の人で鉄が不足した原因を突き止め、のちに突発性難聴にかかる危険性を減らすような管理が必要だ」と結んでいる。
(編集部)