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リウマチ患者の妊娠は計画的に! 注意すべき治療薬は?

 2014年04月14日 06:00

 関節リウマチ患者が妊娠を希望する場合、治療を制限しなければならない。その大きな理由は、関節リウマチの治療薬の中には、おなかの赤ちゃんの成長に悪影響を及ぼしたり、妊娠を継続できなくなる恐れが出たりする薬もあるからだ。2月27日に開催された神戸大学の整形外科リウマチ教室「若いリウマチ患者さんへ:就職や妊娠、育児について」では、同科の三浦靖史准教授が、関節リウマチ患者が妊娠を希望する場合に避けるべき治療薬について講演。「特に注意すべき薬は、リウマトレックスなどとアラバ」と解説した。

胎児に奇形を生じさせる恐れ

 リウマトレックスなどのメトトレキサート(MTX)は関節リウマチ治療の要となる薬で、服用している人も多い。そんなMTXには催奇形性(胎児に奇形を生じさせる恐れ)があるため、服用している間は避妊しなければならない。「服用している本人だけでなくパートナーもそのことを理解し、計画外妊娠を避ける必要がある」と三浦准教授は注意を促す。

 もう一つの注意すべき薬はアラバ(一般名レフルノミド)だ。アラバは催奇形性があるだけでなく、薬の成分が体の中に長くとどまる性質があるので、妊娠を希望する場合は服用を中止するだけでなく、吸着薬を使って成分の排出を促す必要がある。

 さらに、プログラフなど(一般名タクロリムス)、ブレディニンなど(同ミゾリビン)、ケアラムとコルベット(同イグラチモド)、シオゾール(金製剤)も、催奇形性のため妊娠に際して使ってはいけないことになっている。

服用中止から最短で1月経周期

 それでは、MTXの服用をやめてからどのくらいを目安に妊娠を計画してもよくなるのだろうか。女性の場合、最短で1月経周期を待ってから、つまり「服用を止めて1回生理が来れば、新しい卵は薬の影響を受けていないので、妊娠しても差し支えない旨が添付文書に記載されています。ただし、日本リウマチ学会のガイドライン(指針)には、妊娠計画の少なくとも3カ月前にはMTXを中止することが推奨される、と記載されていることも留意しておく必要があります」と三浦准教授は助言する。

 薬を制限して妊娠を待つ期間が長くなると、関節リウマチが再燃する恐れもあり、出産適齢期との兼ね合いも含め、できるだけ早く妊娠する方がよいケースも多い。ガイドラインは治療の指針であって法律ではない。それぞれの人の希望に沿って妊娠のタイミングを図ることが重要という。

(長谷川 愛子)

神戸大学 整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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