酒を長年飲むとしゃがれ声になる?
2014年05月20日 06:00
桑田佳祐さんのようなしゃがれ声に憧れています。長年酒を飲んだり、強い酒でうがいをするとしゃがれるといいますが、本当でしょうか。喉が悪くなったりしないんでしょうか
WS(20代男性)
長年お酒を飲むことによってしゃがれ声になることはあります。
声は、喉の奥にある声帯を呼気(吐く息)で振動させることによって出ます。しゃがれ声は、「声がかれている」状態で、声帯の振動に異常があると生じます。声がかれる主な原因として、炎症による場合と腫瘍による場合があります。
風邪をひくと声帯が炎症を起こします。一時的に声はかれますが、風邪が治れば元の声に戻る経験をお持ちの方は多いでしょう。
たばこを吸い続けたり、アルコールを飲み過ぎたりすると声帯に負担がかかり、慢性的な炎症につながります。
以前、「声質を変えたくて、大声で叫び続けた」という歌手がいました。大声を出したり、叫び続けたり、カラオケで何曲も歌い続けたりして声帯を酷使した場合も炎症は慢性的になり、声帯が上手に振動できなくなります。
しゃがれ声にはなりますが、それと引き換えに、健康を損なってしまうことになります。
声は人それぞれで異なり、他人の声に憧れることはあると思います。もしかしたら、周囲が憧れる声でも、その声の持ち主はイヤだと思っているかもしれません。声も個性として受け止めて、自分の良さに気付いてみましょう。
中野 里美(なかの さとみ)
1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。