「指輪っかテスト」で寝たきりの危険性を判定―東京大
2014年06月26日 10:30
健康に長生きするために、防ぐべきなのが寝たきり。その原因の一つとして、年齢を重ねていくとともに筋肉が衰えていくサルコペニアという現象がある。東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢准教授(執行委員)らは、6月12~14日に福岡市で開かれた日本老年医学会の会合で、サルコペニアをいち早く発見するための自己評価法として「指輪っかテスト」を紹介した。また、千葉県柏市に住む高齢者2,000人の調査から、サルコペニアを予防する上で早期発見が重要なことが分かったとしている。
予防には予備軍からの改善が大切
サルコペニアは、筋肉の量が減り、筋力が衰えていく老化現象。25~30歳頃から始まり、主に動かないことが原因と考えているが、詳しい仕組みは分かっていない。
飯島准教授らは、柏市に住む65歳以上の高齢者2,044人(平均年齢73.0歳、男性1,013人、女性1,031人)を対象に健康調査を実施。要介護度が「要支援2」以下としたが、大半は自立した「非該当」だった。なお、サルコペニアは(1)低筋肉量、(2)低筋力(握力)、(3)低身体機能(歩行速度)―によって判定し、(1)に加えて(2)か(3)がある場合をサルコペニア、3項目とも満たさない場合を健常、サルコペニアにも健常にも該当しない場合を予備軍とした。
その結果、サルコペニアは男性で14.4%、女性で22.1%、予備軍はそれぞれ33.3%、39.3%だった。検討したところ、サルコペニアには加齢のほか、女性、運動機能、滑舌、食べ物をかむ力、舌の筋力、人とのつながり、余暇に活動する習慣、牛乳・野菜・果物を食べる頻度などが関わっていることが分かった。
こうしたことから、予備軍の時点、つまり、より早い段階でサルコペニアになる危険性を発見し、運動だけでなく食事や社会性などさまざまな面から改善することが大切と示唆されたという。
輪っかに隙間ができると要注意
では、サルコペニアを早期発見するにはどうしたらよいのか。現時点で、腕や脚の筋肉量、握力、歩行速度を測って判定する必要があり、予備軍の段階での発見は難しい。そこで飯島准教授が考案したのが、「指輪っかテスト」という自己評価法だ。
方法は、両手の親指と人さし指で輪っかをつくり、ふくらはぎの最も太い部分を囲むだけ。「囲めない」「ちょうど囲める」「隙間ができる」の順にサルコペニアの可能性が高まるほか、筋肉量や身体能力、食事量、口の中の機能、生活の質、うつ傾向、転倒歴との関係も認められているという。飯島准教授は「高齢者自身が早期に気付く簡便な自己判定法として、有用な方法」と紹介した。
(編集部)