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皮膚が赤くなり粉に、10万人が悩む「尋常性乾癬」

 2014年06月26日 06:00

 皮膚が赤く盛り上がり、銀白色の粉が剥がれ落ちる尋常性乾癬(かんせん)。1,000人に1人の割合で発症し、患者数は全国に10万人といわれている。「最近では、心筋梗塞の危険因子の一つとして考えられるようになってきました」と京都大学医学部付属病院皮膚科の谷岡未樹講師は注意を呼びかける。

他人にはうつらない

 乾癬には5つの種類があり、中でも尋常性乾癬が最も多く約9割を占める。皮膚が赤くなり、盛り上がり、魚のうろこのようなかさぶたが厚く生じてぼろぼろと落ちる。頭、肘や膝頭、爪などに現れやすい。「最初は頭に現れることが多いので、フケと勘違いするようです。下着や靴下のゴムの部分、ベルトなど、こすれる部分にもよく起こります」と谷岡講師は話す。

 通常、皮膚の最も外側の表皮は45日周期で新陳代謝を繰り返している。乾癬の場合はこれが4~5日と極端に短くなるため、次々に「垢(あか)」を作ることになるのだ。同じように皮膚が剥がれ落ちる水虫などの白癬(はくせん)と違い、感染症ではないため他人にうつることはない。

 原因は分かっていない。もともとなりやすい体質があり、そこにストレスや不規則な生活、偏った食事などがきっかけとなって起きると考えられてきた。「最近の研究で、免疫に異常が生じ、免疫細胞から放出されるTNF-α(アルファ)が表皮の部分に増えていることが分かりました。このTNF-αが乾癬の症状を起こしていると考えられています」(谷岡講師)

食事の欧米化が関与か

 治療は3段階。まず、炎症や皮膚の新陳代謝を抑える塗り薬を塗る。次に免疫の異常を抑える薬を飲む。症状が改善しない場合はTNF-αの働きを抑える薬を注射する。日常生活では入浴時に肌をこすらず、1日1回の塗り薬を忘れない。また、戦後急激に増え、食事の欧米化の関与が疑われることから、日本食を意識して取るように心がけることも重要という。

 谷岡講師は「肥満、高血圧、脂質異常、高血糖の人に多く、心筋梗塞や脳梗塞の頻度も高いとの調査報告があります。メタボリック症候群の人は注意が必要です」と話している。

(編集部)

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