ニキビケア化粧品で致死性のアレルギー反応も―米当局
2014年06月27日 10:30
米食品医薬品局(FDA)は6月25日、「Proactiv」や「Neutrogena」など、米国内やインターネットで販売されているニキビケア化粧品に関する安全性情報を発表し、「まれに重く、死に至るほどのアレルギー反応や過敏症状が見られることがある」と使う際の注意を呼びかけた。また企業に対しては、使用上の注意に関する記載の強化を求めている。
2012年以降に報告増加
今回、安全性情報の対象となっているニキビケア化粧品は、「Proactiv」「Neutrogena」のほか、「MaxClarity」「Oxy」「Clean & Clear」などのさまざまなブランド。ジェル、ローション、洗顔料、溶解液やクレンジングパッド、フェイススクラブなどが販売されているという。
これらの製品には有効成分として過酸化ベンゾイルやサリチル酸などが含まれているが、これまでに報告されている重いアレルギー症状が有効成分や他の成分との組み合わせによって起こるものかは明らかになっていないとしている。なお、「Proactiv(プロアクティブ)」は日本でも販売されているが、日本国内向けの製品には過酸化ベンゾイルが含まれていない。
FDAの調べによると、1969~2013年に過酸化ベンゾイルやサリチル酸を含むニキビケア化粧品に関連した重いアレルギー症状の報告が131件あったという。症例の大部分は2012年以降の報告で、全体の86%(113件)が女性、年齢は11~78歳(中央値32歳)だった。
4割でアナフィラキシー
報告された症状は、皮膚の炎症や熱感、紅斑(赤い発疹)、まぶた・唇・舌・顔・喉(喉頭)の腫れ、呼吸困難など。死亡した人はいなかったが、44%(58件)で要入院、38%(50件)でアナフィラキシーと考えられた。
また、42%(55件)が製品を使ってから24時間以内に発症。発症後に製品の使用を中止した56人のうち73%(41件)に症状の改善が見られたほか再度使い始めたところ症状が再発したとの報告も4件あった。
使う前にパッチテストを
こうした調査結果からFDAは、喉の苦しさや呼吸困難、目まい、目・顔・唇・舌の腫れなどの兆候が見られた場合、ニキビケア化粧品の使用を中止し、すぐに医師の診察を受けるよう呼びかけた。また、初めて使用する際には、皮膚の目立たないところに塗ってアレルギー反応があるかどうかを試すパッチテストを行うことなども助言している。
さらに、販売企業に対しても、全ての製品ラベルに新規使用の際のパッチテストに関する情報を記載するよう呼びかけた。
日本皮膚科学会「治療したいなら受診を」
日本では、医師の処方箋が必要なため、ニキビケア化粧品には過酸化ベンゾイルが含まれていない。ところが、日本皮膚科学会によると、インターネットなどで海外製品を並行輸入して使う事例があるという。
ニキビケア化粧品について同学会は、「ニキビを予防したりできにくくする作用はあるものもありますが、ニキビの治療薬ではありません」としており、「自己流に化粧品などを使用して症状をこじらせる前に、皮膚科を受診してください」と呼びかけている。
(編集部)