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アルツハイマー病、糖尿病で発症率2倍―合併で双方悪化

 2014年07月01日 06:00

 糖尿病があるとアルツハイマー病になる危険性が2倍近くになる。また、合併すると双方ともに症状が悪化することが、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学講座の里直行・准教授らの研究で分かってきた。里准教授は「食事や運動など生活習慣を見直して、糖尿病を予防することが大切」と話す。

マウスで実験

 アルツハイマー病の脳の特徴の一つに老人斑がある。β(ベータ)アミロイドというタンパク質が沈着したもので、記憶をつかさどる部分にまで広がる。健康な人の脳でも40歳代頃から見られるが、アルツハイマー病では非常に数が多い。

 糖尿病など食後の血糖値が下がりにくい人では老人斑が増えるという報告があることから、里准教授らは糖尿病が与える影響を調べるため、アルツハイマー病を発症させたマウスを使って実験を行った。

 その結果、記憶障害は糖尿病を合併したマウスでは生後8週間で現れ、アルツハイマー病だけのマウスの生後6カ月後に比べ早いことが分かった。βアミロイドの脳血管での蓄積が他のマウスより早いことも確認。また、合併したマウスでは血糖を調整するインスリンの働きが悪くなり、糖尿病だけのマウスに比べ血糖値が高くなる傾向が見られた。

運動の習慣を

 これらの実験から、糖尿病とアルツハイマー病を合併すると双方が悪化することが分かった、と里准教授は話す。

 「βアミロイドがたまりやすいのは、糖尿病の影響で血管に変化が起きていると考えられます。そのため、脳の神経活動に必要な血液量を送れず、認知機能に悪影響を与えている可能性があります」

 こうした悪循環を断ち切るには、運動を習慣付けること。散歩やジョギングなど有酸素運動は認知症の発症や認知機能低下の予防に効果がある。食事は緑黄色野菜、魚類、鶏肉、植物性油などを中心にし、動物性脂肪を取りすぎない。何よりも糖尿病予防が重要だ。
 糖尿病とアルツハイマー病の間にはまだ深い関係があると見られ、里准教授らは現在さらにその探究を行っている。

(編集部)

2013年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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