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"エコノミークラス症候群"を防ぐ! 水分補給が重要

 2014年07月14日 06:00

 飛行機や長距離バスなどで長時間座ったままでいると、脚の静脈に血の塊ができてそれが肺に詰まり、時には命にも関わる状態になる静脈血栓塞栓(そくせん)症。いわゆる「エコノミークラス症候群」で、近年は「ロングフライト症候群」や「旅行者血栓症」とも呼ばれている。これを防ぐには、乗り物に乗る時には十分な水分補給や、3~4時間に1度は立ち上がって歩くことが大切だという。成田赤十字病院(千葉県)総合内科の森尾比呂志部長に聞いた。

避難生活でも問題に

 心臓から送り出された血液は動脈によって体の隅々に運ばれ、静脈を通して心臓に戻ってくる。しかし、10時間以上も同じ姿勢で座り続けていると、脚の血液の一部がゼリー状になり、それが塊(血栓)となってしまう。この状態を「深部静脈血栓症」という。

 立ち上がって歩きだすとその血栓が流れ出し、心臓を経て肺の動脈で詰まる。この状態が「肺血栓塞栓症」で、二つを合わせたものが静脈血栓塞栓症だ。乗り物に乗っているときだけでなく、同じ姿勢を長時間続けていると発生し、震災で避難生活を送る人たちの間でも問題となった。

10時間以上座るなら通路側を

 成田赤十字病院は成田国際空港から車で20~30分と近く、国際線での静脈血栓塞栓症患者の多くが搬送されてくる。森尾部長は2013年、同病院での現状と1994~2012年の動向を「旅行者血栓症最新事情」と題した文献にまとめた。

 この間に旅行者血栓症で治療した82人(男性13人、女性69人。うち死亡5人)の飛行時間は平均12.8時間で、10時間以上1度も席を立たなかった人が46%もいた。年齢は女性の60~80歳代が約半数を占め、座席の位置は中央と窓際が75%だった。

 調査結果を踏まえて、森尾部長は「特に60歳以上の女性で身長160センチ以下、体重50~70キロの人が10時間以上座り続けるときは通路側に座り、少なくとも1回は離席することを勧めます」とアドバイスしている(関連記事:"エコノミークラス症候群神話"に根拠なし)。

(編集部)

2013年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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