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夜勤、2人以上なら"前後半制"で睡眠の質が改善

 2014年07月28日 10:30

 さまざまな病気になる危険性が高まるとされる夜勤。睡眠の質が悪化することが病気を招く一因といわれているが、もし2人以上で夜勤をするならば、それを改善できるかもしれない。京都府立医科大学救急医学の安炳文氏と滋賀医科大学睡眠学の宮崎総一郎教授は、医師の当直で調査した結果、2つのグループで前後半に分けて待機する体制で睡眠の質が改善する可能性が示されたと、7月3~4日に徳島市で開かれた日本睡眠学会の会合で発表した。"前後半制"の方が深い眠りを示すノンレム睡眠の割合が高かったという。

当直医師の半数が睡眠4時間未満

 夜勤や勤務時間が一定しないシフト勤務をしている人は、心筋梗塞や脳卒中、がんなどにかかる危険性が高まるとの研究結果が報告されている(関連記事:シフト勤務者で心筋梗塞、脳卒中のリスク上昇夜勤者のがんリスク、未経験者の2~3倍夜勤経験のある女性で卵巣がんリスク上昇―米研究)。夜勤やシフト勤務が病気を招くのは睡眠が深く関係しており、睡眠の質の低下は体内時計(概日リズム=サーカディアンリズム)が崩れることによって起こるのではないかとされている。

 シフト勤務の代表格といえば、医師の当直もその一つに挙げられるだろう。厚生労働省の調査によると、当直は医師とって最も負担が大きいと感じる業務とされており、当直中の平均睡眠時間が4時間未満の医師は約半数に上ったという。

 安氏らは、京都府立医大病院の研修医(卒後1、2年目)を対象に検討を実施。当直の体制を、

  1. ナイトコール...当直室で休養しながら診察依頼の呼び出しがあるごとに救急室で診察(当直時間午後6時~翌午前8時)
  2. シフトワーク1...夜勤前半(午後6時~翌午前1時)のみ救急室で継続勤務し、後半は休養
  3. シフトワーク2...夜勤前半は休養、後半(午前1~8時)に救急室で継続勤務

―の3種類に分類し、曜日によって(1)のみの体制と、(2)+(3)の体制に分けて勤務させた。

 その結果、本人の評価による睡眠の質は、ナイトコールに比べてシフトワーク1で高まったが、シフトワーク2ではナイトコールとの間に差は認められなかった。しかし、客観的な評価(ノンレム睡眠の割合)は、シフトワーク1だけでなく2でも高まっていたという。

 安氏らは「前後半で分ける体制は、一般的な当直体制に比べて自覚的・客観的な睡眠を改善する可能性がある」と結論。夜勤の際に睡眠を取る方法を工夫する必要があるとしている。

(編集部)

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