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抗インフル薬「イナビル」、欧米の試験で効果に疑問符

 2014年08月11日 10:30

 製薬大手の第一三共が開発した"国産"抗インフルエンザ薬の「イナビル」(一般名ラニナミビル)だが、欧米での臨床試験では効果に疑問符が投げかけられた。インフルエンザの症状が改善するまでの期間がプラセボ(偽薬)と変わらなかったという。欧米での承認を目指して臨床試験を行っていた米製薬メーカーのビオタは、これ以上独自にイナビルの開発を進める予定はなく、今後の展開は「第一三共と話し合っていく」としている。

ウイルス量は減ったが...

 イナビルは2010年9月、世界に先駆けて日本で承認された最も新しい抗インフルエンザ薬(販売は同年10月から)。「リレンザ」(一般名:ザナミビル)と同じく粉末を吸入するタイプだが、治療の場合、一度吸入すれば完了するため、1日2回の吸入を5日間続けなければならないリレンザよりも利便性が高い点が特徴だ。

 日本を含むアジア地域では第一三共が開発を請け負い、欧米での開発はビオタ社が担当。ビオタ社はようやく臨床試験の第2段階(第Ⅱ相)にたどり着いたところだった。

 今回の臨床試験(IGLOO試験)は2013年6月~14年4月に12カ国639人を対象に、イナビル40ミリグラムと80ミリグラムの安全性と効果をプラセボと比べた(日本での投与量は10歳以上の患者で40ミリグラム、10歳未満で20ミリグラム)。

 その結果、インフルエンザの症状が治まるまでの期間は、いずれの用量でもプラセボと差が認められなかった。

 一方、吸入の3日後のウイルス量や、細菌に二次感染する割合などはイナビルを吸入していたグループで少なく、副作用については顕著な差がなかったという。

 ビオタ社のRussell H. Plumb社長兼CEOは「いずれの用量でも抗ウイルス効果が認められなかったことは残念」とコメント。今後、数カ月でIGLOD試験の詳細な解析を完了する予定だが、現時点ではこれ以上、独自にイナビルの開発を進める予定はないこと、今後の展開については第一三共と話し合っていくことを明らかにしている。

(編集部)

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