使い切らなかった小麦粉に注意! アレルギー引き起こす恐れ
2014年08月15日 06:00
家庭では、一度に使い切らなかった小麦粉などを袋ごと長期保存することはよくある。こうして放置した粉製品にダニが発生し、再度調理の際、知らないうちに食べてしまうことで起こる「パンケーキシンドローム」と呼ばれるダニアレルギー症状がある。聖路加国際病院(東京都)皮膚科の中野敏明医師は「同様の症例を2件経験しており、小麦に対するアレルギーと誤解されやすく、見逃されているケースも少なくありません」と警鐘を鳴らす。海外では死亡例もあるという。
加熱では防げない
原因となるイエダニは、特に気温26~27度、湿度70%程度といった高温多湿の環境下で繁殖しやすく、小麦粉やお好み焼き粉などを餌とすることがある。パンケーキシンドロームは、繁殖したダニを含むこれら粉製品を調理して食べることで、じんましんなどの皮膚症状や喘息(ぜんそく)のような呼吸器症状などを生じる。
重症例ではアナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー反応を引き起こす。血圧の低下や意識喪失を招き、海外では死亡例も報告されている。
中野医師は「ダニは加熱してもアレルギー源となる抗原は残るので、発症を抑えることはできません。近年は、気密性の高い住宅が増えたことで年間を通して発症する可能性があります」と話す。
対策は「一度に使い切る」
「一番の対策は、使用する小麦粉は一度に使い切ってしまうことです。それでも残ってしまった場合は、容器で密封して冷所保存するのが望ましい」と中野医師。また、「患者さんに共通するのは、家の中に生息するダニの数が多いことです」と指摘する。屋内のダニの駆除も重要だ。
自身がダニにアレルギーがあるかどうかは、採血やプリックテストと呼ばれる検査で確認できる。また、以前にアナフィラキシー症状のあった患者には緊急用としてアドレナリン自己注射剤が処方されることもある。
中野医師は「1度目は症状が軽くても、2度、3度目には重くなることもあるので、思い当たる人は皮膚科などの専門医に相談してください。受診の際には食べた袋も持参して」と話している。
(編集部)
2013年9月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)