インターフェロン不要のC型肝炎治療薬発売、日本初
2014年09月05日 18:00
ブリストル・マイヤーズは9月3日、C型慢性肝炎の治療薬「ダクルインザ」(一般名ダクラタスビル)と「スンベプラ」(同アスナプレビル)を発売した。効果が高いものの重い副作用が伴うインターフェロンやリバビリンを必要とせず、2つの飲み薬だけでC型慢性肝炎などを治療できる。インターフェロンが不要の飲み薬は、日本初となる。
インターフェロンと違う作用の仕組み
肝臓がんの8割はC型肝炎ウイルスへの感染が原因といわれる。このウイルスに感染するとC型肝炎から肝硬変を経て肝臓がんを発症するが、これを食い止めるにはウイルスの駆除が必要で、その主役がインターフェロン(ペグインターフェロン)だった。
しかし、インターフェロンは副作用が重い上に、日本人に多い種類のウイルスやウイルスの量が多い患者には効きにくく、飲み薬のリバビリンを併用しても効く割合(ウイルスが検出されなくなる割合=SVR)は40~50%といわれている。
今回発売された「ダクルインザ」と「スンベプラ」は、いずれも作用の仕組みがインターフェロンとは異なる「直接作用型抗ウイルス薬(DAA)」と呼ばれる薬で、特にダクルインザはその中でも世界初のNS5A阻害薬に分類される。DAAはこれまでも国内で発売されていたが、インターフェロンを必要としないタイプは日本初となる。
1型患者の84%以上で効果
臨床試験では、2剤による治療で、日本人患者の7割以上を占める1b型(ジェノタイプ1b)患者の84.7%でウイルスが検出されなくなった。特に、副作用の問題でインターフェロンが使えなかった65歳以上の患者に限定すると、ウイルスが検出されなくなったのは91.9%に上ったという。
このように抗ウイルス作用が強力なDAAだが、ウイルスが耐性を獲得しやすい点が問題視されている。ブリストル社は今回の治療法について、NS5A阻害薬のダクルインザとNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬のスンベプラという、種類の違うDAAを併用することで、抗ウイルス作用が強まるだけでなく、耐性変異も抑えられると説明している。
適応は「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変における次のいずれかのウイルス血症の改善―(1)インターフェロンを含む治療法に不適格の未治療あるいは不耐容の患者、(2)インターフェロンを含む治療法で無効となった患者」。用法・用量は、ダクルインザ60ミリグラムを1日1回およびスンベプラ100ミリグラムを1日2回、24週間服用する。価格はダクルインザが9,186円、スンベプラが3,280.70円。
(編集部)