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青年期に多い統合失調症、幻覚や妄想など表れる

 2014年09月18日 06:00

 統合失調症は、思春期から青年期に発症することが多い脳と心の病気。東邦大学医学部(東京都大田区)精神神経医学講座の水野雅文教授は「かつては、長期間にわたって専門病院での入院治療が必要とされていました。しかし近年、早期発見・治療によって、十分な社会的自立が可能になっています」と話す。

脳機能バランス失う

 統合失調症は、初めのうちは幻覚や妄想、興奮などの「陽性症状」が表れる。その後、本来あるべき心の動きや意欲、自主性や感情表現などが乏しくなる「陰性症状」が見られるようになり、結果として、社会的に孤立したり長期の入院が必要になったりすることもある。

 「原因は不明ですが、本人の体質や脳の特性のほか、生まれ育った環境、人間関係などにより、脳の機能のバランスが崩れるものと考えられます。発症率は0.7~0.8%、120人に1人ほどで、国内に約100万人の患者さんがいるといわれています」と水野教授。

 治療では早期発見と治療開始が重要だ。「誰もいないのに誰かの声が聞こえる」「自分の心にいたずらをされたように感じる」などの症状がある場合は、速やかに精神科を受診することが勧められる。

8割が社会復帰

 治療は、家族や周囲の人へのアドバイスも含めた環境調整と十分な休養を第一としたい。これに加えて、抗精神病薬を慎重に用いる。さらに社会復帰を念頭に置いた支援も重要だ。

 「東邦大学医療センター大森病院では、統合失調症を発症することが多い思春期から青年期の若年者に特化した治療施設『イルボスコ』を2007年に開設し、治療開始から1年以内に約80%の人が学校や会社に復帰する成果を挙げています」(水野教授)

 イルボスコでは、早期治療として料理教室や英会話、スポーツなど若者の関心を引きやすいプログラムを導入。コミュニケーションや認知機能のトレーニングを行い、社会復帰を実現している。

(編集部)

2013年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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