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人間関係のストレスでも腰痛に、脳の不具合が異常もたらす

 2014年10月15日 06:00

 腰痛は身近な病気だが、その多くが原因をはっきり特定できないといわれる。そうした腰痛の一つに、ストレスを原因としたものがあるという。独立行政法人労働者健康福祉機構(川崎市)の松平浩医師(整形外科専門医)は「人間関係などのストレスが脳の不具合を招き、それが腰自体への負担とともに腰痛に関係している可能性があります」と話す。

原因不明は「心配要らない腰痛」?

 原因をはっきりと特定できる「特異的腰痛」は、医療機関にかかる人の15%程度にすぎず、残る約85%ははっきりと原因が特定できない「非特異的腰痛」に分類される。

 特異的腰痛とは、座骨神経痛を伴う椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄(きょうさく)症をはじめ、腫瘍、感染、骨折などによるもの。検査や問診で原因が明らかにされ、治療法もおおむね決まっている。

 一方、いわゆるぎっくり腰などは画像検査では詳細な異常がはっきりと認められず、非特異的腰痛に分類される。腰椎捻挫、変形性腰痛症、筋・筋膜性腰痛、腰痛症などと診断されているケースは、ほとんどがこの腰痛とみられる。

 原因が明らかでないため、有効な治療法も確立し切れていない「よく分からない腰痛」だが、重い病気の可能性は低く、「心配の要らない腰痛」でもあるという。

自律神経にも影響

 松平医師らの研究では、仕事に支障を来すほどの非特異的腰痛は「腰自体への負担に加え、ストレスが主な危険要因」であることが分かっている。「脊椎を主体とする運動器と、脳機能の不具合がそれぞれ関係していると考えられます」と指摘する。

 運動器の不具合とは、座りっ放し、重い物の持ち上げなどによる前かがみの姿勢、ハイヒールを履いた立ち仕事などによる、筋肉や骨などに関するもの。

 一方、脳機能の不具合とは、人間関係の不満、痛みへの不安といった心理的ストレスを受けることによるもの。脳内で痛みを抑える作用のあるドパミンやオピオイド、心のバランスを整えるセロトニンといった神経伝達物質の分泌が妨げられ、さらに自律神経が影響を受け、筋肉痛を含めた体の異常が表れやすくなるという。

 松平医師は「長引く腰痛の多くは両方の要因が関与していますが、両者の割合は置かれた環境により変わります。状況に応じた治療法を考える必要があります」と指摘する。

(編集部)

2013年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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