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たばこで子宮頸がん原因ウイルスへの感染リスク上昇

 2014年10月16日 10:30

 子宮頸(けい)がんを引き起こすとされるヒトパピローマウイルス(HPV)。その中でも特に危険度の高い16型に口の中で感染する危険性が、喫煙量が増えるごとに高まるという研究結果が発表された。米ジョンズホプキンス大学医学部のCarole Fakhry氏らが、10月8日発行の米医学誌「JAMA」(2014; 312: 1465-1467)に報告したもので、リスク上昇は副流煙を吸い込んでいる人や無煙たばこ(かぎたばこ、かみたばこなど)を利用している人でも見られたという。なお、口の中で16型のHPVに感染すると、喉のがん(中咽頭扁平=へんぺい=上皮がん)になる確率が高まるとされている。

血液・尿検査で受動喫煙の程度を測定

 HPVは、感染すると体に乳頭腫といういぼをつくるウイルスで、型は100種類以上あるとされる。16型は18型などとともに、がんになりやすい「ハイリスク型」と呼ばれている。感染の経路は性行為や皮膚の接触などで、知らないうちに感染しているケースが多い。

 子宮の入り口(頸部)に感染すると子宮頸がんなどをもたらし、喉に感染すると中咽頭扁平上皮がんの原因となるが、子宮頸がんワクチンと呼ばれるHPVワクチンは、2価が16型と18型、4価はこれに加えて6型と11型に対応しているのみで、それ以外の型によるがんは防げない。そのため、子宮頸がんに関しては検診を受けることも重要となる。

 Fakhry氏らは今回、18~59歳の米国人6,887人に対し、(1)口の中のHPV感染検査、(2)喫煙と性行動に関する質問(自己申告)、(3)たばこの煙にさらされている度合い(受動喫煙の程度)を示す血液や尿などの検査―などを行った。

 現在の喫煙率(無煙たばこを含む)は28.6%(2,012人)で、口の中のHPV・16型感染が確認されたのは0.9%(63人)だった。現在の喫煙者はそうでない人と比べ、男性が多く、若く、教育レベルが低く、過去にオーラルセックス(口腔=こうくう=性交)の相手が多いなどの特徴があったという。

1日3~4本分ごとに感染リスク上昇

 現在の喫煙(無煙たばこを含む)、受動喫煙、オーラルセックスはそれぞれ、口の中のHPV・16型感染率との関連が認められ、現在の喫煙者の感染率はそうでない人の3倍以上だった(2.0%と0.6%)。

 血液や尿の検査からは、1日3~4本の喫煙に相当する数値ごとにHPV・16型への感染リスクが1.31~1.68倍に上がり、喫煙量(受動喫煙を含む)が増えるとともに感染リスクも上がっていった。オーラルセックスの相手数などの影響を除外しても、依然として感染リスクが高かったという。

 Fakhry氏らは、無煙たばこを含む喫煙だけでなく受動喫煙も、がんをもたらす危険性の高いハイリスク型のHPVに感染しやすくなる可能性が示されたとした上で、「HPV感染とがんへの進行に、たばこが影響していることを評価する必要があるだろう」と述べている。

(編集部)

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