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花粉症が根治可能な舌下免疫療法、専門家に聞く4つの注意点

 2014年10月17日 06:00

 煩わしいスギ花粉症を根治できる可能性があるアレルゲン免疫療法(減感作療法)の中でも、注射なしで自宅でもできる舌下免疫療法が、10月8日から健康保険で行えるようになった(関連記事:花粉症が根治可能な舌下免疫療法薬、発売へ―鳥居薬品)。この治療法を受ける際に気をつけるべきことは何なのか。福井大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の藤枝重治教授は、4つの注意点を挙げる。

注意点1: 初回は医師の前で

 舌下免疫療法は、スギ花粉エキスを1日1回、舌の裏に垂らし、それを繰り返すことでスギ花粉に体を慣らして症状を和らげていく治療法。根治までに3~5年かかるものの、7~8割は症状が軽くなり、そのうち1割は症状がなくなったとの報告もある。また、花粉が飛び始める3カ月以上前から治療を開始すれば、最初の年でもある程度の効果が期待できるともいわれている(関連記事:薬なしで花粉シーズンを乗り切れる? 舌下免疫療法)。

 治療が受けられるのは主に耳鼻咽喉科だ。市販薬ではないので、医師の診断を受け、処方箋を出してもらう必要がある。

 まず注意すべきなのは、副反応(副作用)が意外に多いことだ。海外の研究では、注射を使った皮下免疫療法に比べ、症状の重いアナフィラキシーは少ないものの、それ以外は多いと報告されている。

 そのため藤枝教授は、医師からの説明をしっかり聞き、正しい使い方を行うのはもちろんのこと、「初めて使う際は医師の前で投与すべきでしょう」と助言する。なお、投与後30分ほどは院内にいた方がよいという。

注意点2: 花粉飛ぶ2~3月の開始はNG

 海外の研究によると、口の中がかゆくなったり頬の粘膜や舌が腫れたりなどの頻度が高く、スギ花粉エキスを増量する時期、花粉が飛んでいる時期に起こりやすいという。

 このことから、藤枝氏は「花粉が飛び始める2月や3月に舌下免疫療法を開始するのは危険です。前年の12月までに始めることを勧めます」と強調する。

注意点3: アナフィラキシーもゼロではない

 舌下免疫療法でアナフィラキシーが起こる割合は、皮下免疫療法と比べて少ないもののゼロではない。

 アナフィラキシーの症状として、(1)急速な全身性じんましん、かゆみ、紅斑(赤い斑点)、唇・舌・口の中の腫れ、(2)呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)、気管支痙攣(けいれん)、低酸素血症、(3)血圧低下、筋緊張低下、失神、失禁、(4)急な腹痛(疝痛=せんつう=発作)、嘔吐(おうと)―があり、(1)~(4)のうち2つ以上の症状があれば該当する。

 そのほか、以下の症状はアナフィラキシーとは断定できないものの、症状が重くなる恐れがあるという。

  • もやもやとした不安感
  • 冷汗
  • 目まい、耳鳴り
  • しびれ感
  • 口の中が渇く・異常感がある
  • 口の中や口唇に赤い発疹・かゆみなど
  • 目のかゆみ・涙が出る、鼻水、くしゃみ、せき

 これらの症状が感じられたら、医療機関を受診し、アドレナリン(商品名・ボスミン、エピペンなど)の注射を受けることが勧められるとしている。

注意点4: 自宅では午前中に

 初回の治療を医師の前で行い、次の日からいざ、自宅での治療へ。その際に気をつけるのは、午前中に行うことだという。というのも、アナフィラキシーが起きてしまった場合、医療機関で素早く救急対応してもらうためだ。

 なお、高血圧や心臓病でβ(ベータ)遮断薬という治療薬を服用している人、喘息患者、妊婦などは舌下免疫療法を受けられず、全身にステロイド薬や抗がん薬を使っている人、自己免疫疾患にかかっている人、口の中に異常がある人なども勧められないという。

(編集部)

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