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6~12カ月の乳児に多い腸重積症、対応の遅れが命に影響

 2014年10月29日 10:30

 乳幼児の消化器疾患の中で最も緊急を要するのが「腸重積症」だ。腸が腸の中に入り込む病気で、発見が遅れると生命に関わるケースもある。順天堂大学(東京都文京区)の清水俊明主任教授(小児科学)に早期発見のポイントなど、注意すべきことを聞いた。

ロタウイルスワクチン接種後は要注意

 腸重積症は、主に小腸が大腸にといったように腸が腸の中に入り込む病気。乳幼児は腸の発達が未熟なため起こりやすく、特に生後6~12カ月の乳児に多い。

 清水主任教授は「腸にへこみのできる憩室(けいしつ)や膨らみのあるポリープのほか、腸のリンパ節がウイルスなどによる消化器感染で腫れると起こりますが、原因不明の場合がかなり多くあります。また、最近ではロタウイルスワクチンの接種後に起こるケースが問題視されています」と説明する。

 発症すると、赤ちゃんが不機嫌になる、泣くなどといった症状を一定時間置いて何度か繰り返し、それとともに嘔吐(おうと)や血便が生じてくるという。

 「赤ちゃんは言葉で腹痛を訴えられないので、両親の注意が欠かせません。嘔吐や血便が見られたときはもちろん、授乳しても間欠的に不機嫌で泣きやまないなど、いつもと違う状態に気付いたときは、迷わず小児科を受診すべきです」(清水主任教授)

24時間を過ぎると危険

 この病気は症状と超音波検査から診断できる。受診先で超音波検査ができない場合は、バリウムや空気を肛門から注入して行うX(エックス)線造影検査で分かるという。

 「X線検査は、診断と同時に腸を元の状態に戻す整復治療にもなります。ただし、発病後24時間を過ぎると腸壁に穴の開く穿孔(せんこう)を起こす恐れもあり、注意が必要です」(清水主任教授)

 通常、発症後24時間を過ぎると整復ではなく、手術を要するケースが多くなる。さらに発見が遅れると、重なった腸が虚血状態になって壊死(えし)を起こし、ショックで生命にも関わってくる。

 「過度に神経質になる必要はありませんが、日頃から赤ちゃんの状態をよく観察しておくことが第一です。また、ロタウイルスのワクチン接種は腸重積症を起こしやすくなる生後6カ月までに済ませておいてください」と助言している。

(編集部)

2013年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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