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その腰痛、背骨の骨折が原因かも? 尻もちが引き金に

 2014年10月31日 06:00

 3割の人が悩まされ、国民病ともいわれる腰痛。原因はさまざまだが、その一つに骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による背骨(脊椎)の骨折がある。水野記念病院(東京都足立区)整形外科の浦山茂樹部長は「『大した腰痛ではないから大丈夫』と決めつけないでほしい」と強調する。尻もちなどが引き金になるが、痛みを感じながらもそれほど強くないため、骨折に気づいていない人が多いという。

起き上がる瞬間だけ鋭い痛み

 脊椎は、多くの「椎体」と呼ばれる骨が積み重なってできている。骨粗鬆症の人は椎体がもろく、外力が少し加わるだけでつぶれるように骨折する。

 椎体の骨折は、後方に倒れて尻もちをついたときに生じることが多い。その他にも、布団など重い物を持ったとき、草むしりなど腰に負担のかかる作業を長時間行ったときなどでも生じる。

 椎体骨折は「寝ている姿勢から起き上がろうとする瞬間にピリッと鋭く痛むが、いったん立ち上がれば、あまり痛くないのでなんとか歩くこともできる」のが特徴だ。こうした動きだしに生じる腰痛を「体動時痛」という。

強くない痛みでも5日以上続くなら疑って

 椎体骨折の治療の基本は保存療法だ。骨折から1カ月は骨折部が不安定で簡単に変形する。人によって期間はそれぞれだが、骨折した箇所の変形の進行を防ぐため、硬いコルセットやギプスを使い、胸から腰全体(体幹)を固定する。痛みが強い場合、最初の2週間程度は横になり安静にするのが望ましい。肥満の人は固定しにくいので、長めの安静臥床(がしょう)が必要だ。

 骨が癒合する(くっつく)と、体動時痛は消える。ただ、脊柱が変形したまま治ると、腰の重苦しさやだるいような痛みが残りやすいという。

 腰枕などを入れて骨折した椎体を正常な位置に戻す整復は、高齢者では行わないのが普通だが、仕事に復帰しなければならない世代では実施する。整復した状態を保持するため、骨の隙間にペースト状の補強材料を注入する手術を行うこともある。浦山部長の場合は、小さな円柱状の人工骨をたくさん挿入する方法を取っている。

 浦山部長は「悪化させないためには、早期に適切な治療を行うことが大切です。体動時痛が強い場合、あるいは痛みがそれほど強くなくても5日間以上消えない場合は、椎体骨折の疑いが強いので整形外科の受診を」と助言する。

(編集部)

2013年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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