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パーキンソン病の悪化に関する因子を発見―東北大

 2014年11月05日 20:30

 東北大学医学系研究科の森悦郎教授(高次機能障害学)らのグループは10月30日、パーキンソン病患者で認知・運動障害が悪化していくことに関する因子(予後予測因子)を発見したと発表した。パーキンソン病は運動機能の障害が主な症状だが、闘病が長期にわたると約8割が認知症を併発するといわれている。森教授らは、認知症の発症前に見られる記憶や視覚、知覚の障害が、脳機能の低下(側頭、頭頂、後頭葉)に関わり、さらに3年後の認知や運動症状の悪化に関連することを発見。パーキンソン病の悪化の予測や認知機能障害に対する早期介入につながることが期待できるという。

将来的に発症予測法の確立を目指す

 森教授らは、53人の認知症のないパーキンソン症患者を対象に放射線検査(FDC-PET)で脳の機能や活動性を測定、3年後に再び測定し、運動機能と認知機能(記憶、視知覚、遂行能力)のパターンを比べた。なお、対象者は以下の5つのグループに分けられた。

  1. 最初に認知障害がなく、3年後にも認知障害のないグループ
  2. 最初に認知障害がなく、3年後に記憶障害だけあったグループ
  3. 最初に認知障害がなく、3年後に記憶とその他の認知障害が認められたグループ
  4. 最初に記憶障害のみが認められたグループ
  5. 最初に記憶障害とその他の認知障害が認められたグループ

 その結果、最初の測定で認知障害が認められなかった人たちでは、グループ1とグループ2の症状や脳機能・活動性のパターンは似ていたが、視覚や知覚の障害があり、側頭や前頭葉の機能・活動性の低下が目立ったグループ3では、3年後に認知機能と運動機能の悪化が重度だった。

 最初の測定で記憶障害を認めた2つのグループでは、記憶障害のみのグループ4に比べ、他の認知障害もあって側頭・頭頂・後頭葉の機能・活動性の下がり方が強かったグループ5では、3年後の症状悪化も重度だった。

 以上の結果から、記憶や視覚・知覚に障害のあるパーキンソン病患者は、認知機能や運動障害も急速に悪化する可能性が示されたと結論した。

 詳細は、10月20日発行の米医学誌「Plos One」(電子版)に掲載されている(論文の筆頭著者は県南中核病院研修医の庄司裕美子医師)。

(S. U.)

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