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がん生存率トップ級の日本、唯一世界最低レベルだったのは?

 2014年12月02日 10:30

 世界有数の長寿国で、医療も充実している日本。がんの生存率ももちろんトップクラスであることが、67カ国2,500万人以上のがん患者について調べた国際共同研究によって分かった。特に、胃がんと診断されてから5年後の生存率は、先進諸国で25~30%だったのに対して日本は54%と突出。研究グループは「世界が日本から学ぶべき点は多い」と評している。一方、10種類のがんのうち唯一、日本が世界最低レベルだったものがある。それは...。

肝臓がんや肺がんもトップクラス

 今回の研究(CONCORD-2)では、1995~2009年に日本を含む67カ国でがんと診断された2,570万人の生存率について調査。10種類のがん(胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、肺がん、乳がん、子宮頸=けい=がん、卵巣がん、前立腺がん、白血病)ごとに、診断されてから5年後の生存率を割り出した。なお、日本からは国立がん研究センターがん対策情報センターの松田智大氏が参加し、10都道府県の地域がん登録データが提供されている。

 2005~09年に胃がんと診断された人の5年生存率は、米国(29.1%)や英国(18.5%)、ドイツ(31.6%)、フランス(27.7%)など他の先進国と比べ、日本は54.0%と突出。ただし、1位は57.9%の韓国だった。

 また、10種類の中で最も病状の見通しが悪い肝臓がんや肺がんに関しても、日本の健闘が光った。2005~09年に肝臓がんと診断された人の5年生存率は、日本や台湾、韓国など東アジア諸国・地域で20%を超え、世界でトップクラス。これら3カ国・地域では、1995~99年よりも改善していることも示された。これに対し、英国とスウェーデンを除く北欧諸国、ロシアなどでは2005~09年でも5年生存率が10%に達していなかった。

 2005~09年に肺がんと診断された人の5年生存率も、各国が軒並み10~20%と低かったのに対し、日本では30%とトップ。さらに、1995~99年よりも7%改善していた。

※モーリシャスでは37%とより高かったが,2005年の診断例84人に基づいた生存率だった

前立腺がんは大幅に改善

 結腸がん(大腸がんの一種)の5年生存率は、北米やオセアニア諸国、欧州12カ国などとともに日本も60%を超えていた。直腸がん(大腸がんの一種)はキプロスとアイスランド、カタールで70%を超えており、日本は60.3%、韓国は66.0%だった。

 乳がんの5年生存率は34カ国で80%を超えており、日本は84.7%。子宮頸がんはモーリシャス、韓国、アイスランドなどでは70%を超えていたが、日本は66.3%にとどまった。卵巣がんでは米国、台湾や韓国などアジア9カ国、欧州8カ国では40%を超えていたにもかかわらず、日本では37.3%だった。

 前立腺がんの5年生存率で目立ったのが、1995~99年と比べた2005~09年の改善率。日本も65.7%から86.8%に改善した。ただし、北米やオセアニアでは90年代後半で生存率が高かったため、大幅な改善は見られなかった。

白血病は「驚くべき低水準」、韓国や台湾も

 このように、CONCORD-2では検討されたほとんどのがんの生存率で日本はトップレベルだったが、唯一、白血病の5年生存率に関しては、世界的に見て極めて低いことも示された。

 21カ国で白血病の5年生存率が50~60%なのに対し、日本は19%と低く、韓国や台湾も23%と東アジアで大幅に低かった。また、子供の急性リンパ性白血病(計7万5,000例)の5年生存率は、オーストリア、ベルギー、ドイツ、カナダなどでは90%を超えていたが、日本では81.1%、韓国では77.1%にとどまった。

 研究グループは、胃がんの5年生存率について「日本や韓国、台湾で5年生存率が高いことはすでによく知られていたが、他国と比べてこれほどの差があるのであれば、これらの国々から学ぶべき点は多いのではないか」と強調。一方で、白血病については「日本や韓国、台湾などでは驚くべき低さであった」と指摘し、民族や遺伝が影響した可能性も示した。

(編集部)

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