"プラズマ乳酸菌で免疫力アップ"の秘密を解明―キリンなど
2014年12月18日 10:30
キリンと小岩井乳業が共同で発見した「プラズマ乳酸菌」には、ウイルスに対して免疫力を高める効果(免疫賦活効果)が認められている。しかし、なぜこうした作用があるのかは分かっていなかった。両社は今回、その仕組みを解明し、12月7日に福岡市で開かれた日本ワクチン学会の会合で発表した。
特殊なDNA配列がカギ
プラズマ乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス、JCM5805株)は、ウイルスと戦う免疫細胞の司令塔「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)」に直接働きかける珍しい乳酸菌。これまでに、ロタウイルス感染症やインフルエンザ、風邪などの症状を和らげる効果が確認されているが、その仕組みは分かっていなかったという。
両社が共同で行った今回の研究ではまず、プラズマ乳酸菌の全てのDNA配列を確認。DNAをさまざまな場所で切断したところ、「CpGモチーフ」と呼ばれる配列が切断されるとpDCを直接活発にする作用(免疫賦活効果)も失わることが分かった。このことから、免疫力を高めるにはDNA断片中のCpGモチーフ配列が必要なことが証明されたという。
また、免疫調節やアレルギー改善効果などの報告がある別の乳酸菌(ATCC53103株)と比べると、プラズマ乳酸菌の方がCpGモチーフ配列の中でも作用が強い「高活性CpGモチーフ」を10倍以上多く含んでいることも分かった。
以上のことから両社は、プラズマ乳酸菌だけが一般の乳酸菌にはない免疫賦活効果を持っている理由の一つが明らかになったと結論。同社は、乳製品・清涼飲料など、同グループの商品への応用と合わせ、プラズマ乳酸菌のさらなる有効性を解明していくとのことだ。
(編集部)