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根治が可能なアレルゲン免疫療法―2015年花粉症特集(3)

 2015年01月29日 10:30

 減感作療法と呼ばれる「アレルゲン免疫療法」は、花粉症で唯一の根本的治療法。これは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因)である花粉のエキスを少しずつ体に入れ、花粉に対する免疫を徐々に作り上げていくものだ。日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部(とうけいぶ)外科の大久保公裕教授は「アレルギーの因子が花粉など数種類だけという人には、非常に効き目があり、根治することが可能です」と有効性を説明する。特に、2014年10月に健康保険が使えるようになった「舌下免疫療法」は、注射せずに治療できるため注目されている。

注目の舌下免疫療法

 アレルゲン免疫療法は、患者の約3分の2で以前より症状が軽くなり、人によっては薬を飲む必要がなくなる花粉症で唯一の根治療法。一方で、効果が続かず、治療後に症状が戻ってしまう人もいる。ただし、治療中はおおむね、症状がほとんど出ない状態に近くなるという。

 治療期間は2~3年。その間は定期的に通院して治療を続けなければならないが、この治療が体質に合う人では、治療が終わればほとんど病院に通わなくて済むようになる。一方、スギ花粉のほかに、ヒノキの花粉やハウスダストといった複数のアレルギーを持っていると、効果があまり強くないとされる。

 これまでは皮下に注射する「皮下免疫療法」のみだったが、昨年10月に保険適用されたのが「舌下免疫療法」。花粉のエキスを舌の下にたらして2分間保持し、その後にのみ込むというもの。アレルゲンを少しずつ取り込むという原理は皮下免疫療法と同じだが、注射と違って痛みがなく、通院回数も減らせるといった利点がある。

治療法の足がかりとなるアレルギー検査

 アレルゲン免疫療法では、アレルゲンの特定が欠かせない。自分に合った治療法を見つけるためにも、アレルゲンを特定するアレルギー検査が重要となる。医療機関の形態にもよるが、主な検査は以下の通り(日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の場合。受診者全員に1~3まで行う)。

  • 鼻中好酸球検査(好酸球=アレルギーに反応して増える白血球の一種)
  • 血液検査
  • 皮膚テスト(受診2回目以降)
  • 誘発テスト
  • レントゲン検査

 検査を行うことで、好酸球の数やアレルギーを引き起こす花粉の種類などが判明し、患者も自身の症状を理解することができる。

 大久保教授は「花粉症は、本人の理解がないと治りにくい病気です。自分の症状の程度やタイプをきちんと理解した上で、医師の意見などを組み合わせ、自分がどういう状態になりたいかという理想を最初に設定する事が大切です」と話している。

(編集部)

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