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カフェインや人工甘味料の健康への影響は? 米諮問委員会

 2015年02月25日 10:30

 米国で「米国人の食事指針」2015年版の策定が政府で進められている中、米政府諮問委員会が報告書を発表し、その中でカフェインや人工甘味料についての健康への影響に初めて言及した。人工甘味料のアスパルテームは基本的に"安全"とする一方、推奨度は低いとしつつさまざまな症状と関連する可能性を指摘。カフェインについてはおおむね健康に良い影響を示す結果となった。

バランス取れた食生活の中で塩分、脂質、糖質のカットを提言

 「米国民の食事指針(Dietary Guidelines for Americans)」は健康的な食生活を案内する道しるべで、日本の「食生活指針」や「日本人の食事摂取基準」などに相当する。5年ごとに見直されており、今回は2010年以来の改訂。米政府諮問委員会の報告は、この改訂に向けてのものだ。

 報告では、米国民の多くは塩分や脂質(飽和脂肪酸)、糖質(添加糖類)がいずれも取り過ぎの状態にあるが、それぞれを減らそうとするのではなく、カロリーなどバランスの取れた健康な食生活の一環として減らすべきと提言している。

 その中で、カフェインや人工甘味料アスパルテームについても言及。現時点で科学的に判明していることの信頼性から推奨度を定め、健康に与える影響についての見解を示した。

1日3~5杯のコーヒーは"健康的"

 カフェインやアスパルテームと健康に関する報告は以下の通り。

通常範囲のコーヒー・カフェインと健康の関連は?

【推奨度:強】1日3~5杯(カフェイン相当で400ミリグラム)のコーヒー摂取と、健康な成人の心臓病やがんなどの主な慢性疾患、早死のリスク上昇とが関連しないという、強く一貫したエビデンス(根拠となる研究結果)がある。

【推奨度:中】観察研究で1日3~5杯程度のコーヒー摂取と、健康な成人の糖尿病(2型)や心臓病のリスク減少との関連を示す一貫したエビデンスがある。同様に、日常的なコーヒー摂取と肝臓がん、子宮内膜がんにかかるリスク減少との関連を示すエビデンス、その他のがんにかかるリスクが減少または関連しないとのエビデンスもある。

【推奨度:中】カフェイン摂取がパーキンソン病リスクの減少を示す一貫したエビデンスがある。

【推奨度:弱(限定的)】カフェイン摂取と認知機能低下や認知機能障害、アルツハイマー病のリスク低下との関連を示す限定的なエビデンスがある。

アスパルテームと健康の関連は?

【推奨度:中】欧州食品安全機関(EFSA)の食品添加物に関する見解(一般的な摂取量の範囲でアスパルテームは安全、アスパルテームの制限が必要なフェニルケトン尿症患者を除く健康な成人への健康被害リスクはごく小さい)とおおむね一致している。

【推奨度:弱(限定的)】アスパルテームが男性の血液がん(非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫)リスクに関連する可能性を示した限定的かつ一貫しないエビデンスがあり、人での長期的な検討が必要と考えられる。さらに、早産リスク上昇の可能性を示す限定的かつ一貫しないエビデンスもある。頭痛との関連については、エビデンスが非常に限られているため結論を出すことが不可能

糖分をアスパルテームに置き換える動きをけん制

 上記の報告をまとめると、カフェインについては通常範囲内の量ならば健康に良い影響を与え、アスパルテームについては一部で悪影響が指摘されているものの、おおむね安全ということになる。

 さらに、諮問委員会は今後の研究課題として、カフェインの妊娠、睡眠、生活の質(QOL)、依存性への影響のほか、エナジードリンク(栄養ドリンク)などで多く摂取した場合に子供や若年者、成人の健康に対する影響を挙げている。

 人工甘味料として広く使われているアスパルテームについては、糖質(添加糖類)をこれに置き換える動きが高まっていることをけん制。「あくまで、添加糖類を低カロリーの人工甘味料に置き換えるのではなく、水など健康を重視した選択肢を考慮すべき」との見解を示した。

(編集部)

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