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3月末で助成金なくなるケースも、高齢者の肺炎球菌ワクチン

 2015年03月20日 19:00

 年間12万人が亡くなり、がんや心臓病に次いで日本人の死因3位の肺炎。死亡者の97%を65歳以上の高齢者が占めており、これを防ぐには肺炎球菌ワクチンを受けることが大切だ。このワクチンは定期接種扱いで自治体の助成が出るが、対象が65歳から5歳刻みのため、3月末で対象から外れて助成を受けられなくなるケースもある。自治体によっても助成の形がさまざまなので、対象者かどうか不明な人は自分の住む自治体にお問い合わせを。

対象以外は全額自己負担

 肺炎球菌ワクチンは、2013年4月から子供用が定期接種となり、翌14年10月に高齢者用も定期接種となった。定期接種とは、国が強く勧めているワクチンのこと。高齢者用肺炎球菌ワクチンは1回だけ助成が受けられるため、任意接種のワクチンよりも費用の負担が少ない。

 ただし、助成は全ての年齢で受けられるわけではない。高齢者用の肺炎球菌ワクチンの場合、その年度に65、70、75、80、85、90、95、100歳なる人などとされている。いま助成が受けられる2014年度(平成26年度)の対象者は下記の通り。なお、接種するのは23価ワクチン(23種類の肺炎球菌に予防効果があるワクチン)の「ニューモバックスNP」だ。

  • 65歳になる人 (昭和24年4月2日~昭和25年4月1日生まれ)
  • 70歳になる人 (昭和19年4月2日~昭和20年4月1日生まれ)
  • 75歳になる人 (昭和14年4月2日~昭和15年4月1日生まれ)
  • 80歳になる人 (昭和9年4月2日~昭和10年4月1日生まれ)
  • 85歳になる人 (昭和4年4月2日~昭和5年4月1日生まれ)
  • 90歳になる人 (大正13年4月2日~大正14年4月1日生まれ)
  • 95歳になる人 (大正8年4月2日~大正9年4月1日生まれ)
  • 100歳になる人 (大正3年4月2日~大正4年4月1日生まれ)
  • 101歳以上の人 (大正3年4月1日以前生まれ)
  • 心臓や腎臓、呼吸器の障害またはHIV(エイズウイルス)で免疫機能に障害がある6064歳(昭和25年4月2日~昭和30年4月1日生)

 本年度の対象者は年度末の3月31日を過ぎると、肺炎球菌ワクチンを接種する場合、費用の全額(8,000円程度)を自己負担しなければならなくなる。

65歳以上全て無料の自治体も

 ただし、自治体によっては定期接種対象者以外にも助成している場合があり、助成額も異なる。例えば東京都23区だけを見ても、港区や江東区、豊島区、江戸川区などでは定期接種の対象者のみに助成している一方、千代田区や中央区、新宿区、墨田区などでは本年度に限り、定期接種の対象者に加えて65歳以上の全員、文京区では75歳以上の全員に助成(いずれも自己負担額は4,000円)。渋谷区では定期接種の対象者は無料(全額助成)で、75歳以上の全員にも全額助成を行っている。渋谷区の地域保健医療担当課長によると、来年度からは助成は定期接種対象者のみとなるが、全額助成は変わらないという。

 このほか、兵庫県小野市では、定期接種の対象者も含め65歳以上の全員が無料。助成の経緯について、同市市民福祉部健康課の担当者は「肺炎球菌は年齢が上がるほどリスクが高まり、定期接種のみでは対象者よりリスクが高い人々が自己負担しなければならないという矛盾も発生します。こうした問い合わせを受けたため、14年12月に市議会へ提案し、今年1月に施行、14年10~12月に自費で受けた方にもさかのぼって適用されるようにしました」と説明する。無料にしたのは、同市で65歳以上は無料としているインフルエンザワクチンに合わせたという。

 肺炎球菌ワクチンの効果(抗体価)は、5年後から徐々に低下する。小野市では主治医と相談し、体力や体の状態に合わせて接種を受けるかどうか決めている市民も少なくないという。これは、小野市が65歳以上ならばいつでも1回は無料で接種が受けられるためにできることだが、そうでない地域に住んでいても、自分が助成の対象者かどうかを含めて医師に相談した方がよさそうだ。

(小島 領平)

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