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子宮頸がんワクチンの接種率、65%から4%に激減―阪大調べ

 2015年04月16日 06:00

 2013年に定期接種になるも、接種後に全身の痛みが出るなどの報告が相次いだことから、国による積極的な接種の呼びかけが中止されている子宮頸(けい)がんワクチン(ヒトパピローマウイルス=HPV=ワクチン)。この勧奨中止よって、子宮頸がんワクチンの接種率が65%から4%に激減していることが、大阪大学大学院医学系研究科の上田豊氏(産科学婦人科学)らの調査によって分かった。上田氏は、今年度の中学3年生以降で将来的に子宮頸がんの発症率が高まることを懸念している。この報告は、4月9~12日に横浜市で開かれた日本産科婦人科学会の会合で発表された。

大阪府S市の予防接種台帳を解析

 子宮頸がんワクチンの導入以来、7~8割の接種率を維持しているオーストラリアでは、すでに子宮頸部の前がん病変(がんの前段階)や尖圭コンジローマ(性器などにイボができる病気)といったHPVが原因の病気が減っている。

 しかし、日本では定期接種に組み込まれた2013年以来、中高生を中心に接種後、全身の痛みを訴える報告が相次いでいる。これを受け、国は積極的な接種の呼びかけを中止。関係各医学会などと調査しているものの、原因は明らかになっていない。日本線維筋痛症学会は、予備調査の結果からワクチンの効果を高める添加物が脳内の免疫異常を引き起こしている可能性を指摘し、本格的な調査に乗り出している(関連記事:子宮頸がんワクチンの副作用、添加物が原因か―学会調査)。

 上田氏らは今回、大阪府S市(人口約84万人)の予防接種台帳(市町村が5年間保管する住民の予防接種記録)を解析し、積極的な接種の呼びかけが中止される前後の接種率を比較した。

中止以降はほぼゼロ

 その結果、中止前(2012年度)の中学1年女子の初回接種率は65.4%だったのに対し、中止後(2013年度)の初回接種率は3.9%と激減。2013年6月の勧奨の中止以降、接種を受ける人はほぼゼロとなっていた。

 上田氏は「子宮頸がんワクチン副反応の報道や国の勧奨中止以降、接種率は著しく減少していた」と結論。このままでは「今年度の中学3年生以降で、将来的に子宮頸がんの発症率が高まると懸念される」と述べた。

(あなたの健康百科編集部)

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