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子宮頸がんワクチン「接種させる」母親は24%―阪大調査

 2015年04月17日 06:00

 接種するべきか否か―子宮頸(けい)がんワクチン(ヒトパピローマウイルス=HPV=ワクチン)をめぐってさまざまな意見が出ているが、困惑しているのは、定期接種対象の女子とその保護者だろう。大阪大学大学院医学系研究科の髙田友美氏ら(産科学婦人科学)は、接種対象年齢の娘を持つ母親1,000人を調査した結果、今後、子宮頸がんワクチンを「接種させる」としたのは24%にとどまり、多くが「接種させない」もしくは「分からない」と回答したと、4月9~12日に横浜市で開かれた日本産科婦人科学会の会合で発表した。

接種中断の理由は「勧奨中止」に「報道」が肉薄

 子宮頸がんワクチンは2013年4月に定期接種になったものの、関連が否定できない全身の痛みなどの報告が相次いだため、その2カ月後に国の積極的な接種の呼びかけが中止され、現在も確定していない。報道なども相まって、積極的な勧奨の中止以降、接種を受ける人が激減したことを大阪大学が報告している(関連記事:子宮頸がんワクチンの接種率、65%から4%に激減―阪大調べ)。

 髙田氏らは今回、子宮頸がんワクチンの接種対象年齢と近い将来に接種対象年齢となる10~18歳の娘を持つ母親1,000人を対象に、インターネット調査を行った。

 その結果、子宮頸がんワクチンの接種を始めていないと回答したのは200人、2~3回目の接種を受けずに中断していると回答したのも200人だった。娘の接種を中断した理由で最も多かったのは「国の積極的な接種呼びかけの中止」(37%)で、それに「報道で副反応が心配になったから」(34%)が続いた。なお、「娘が嫌がったから」は13%にとどまっていた。

 しかし、たとえ積極的な勧奨を再開したとしても、「今後、接種させる」と回答したのは24%(94人)。45%(178人)が「接種させない」、32%(128人)が「分からない」と答えた。

鍵は母親への働きかけ

 副反応報道や勧奨中止後も接種を続けさせた母親たちでは、中断させた母親たちよりも「ワクチンの効果や起こり得る副反応について医師の説明を十分受けた」と回答した割合が多かった。

 また、「接種させる」と答えた94人は、「接種させない」とした178人に比べ、「自身が子宮頸がん検診を受ける意図がある」あるいは「娘が20歳になった際の検診を必ず勧める」と答えた割合が多かった。

 髙田氏らは「接種対象の女子が子宮頸がんワクチンを受けるかどうかは、母親の予防に対する意識や行動様式が関連していた」と結論。「積極的な勧奨を再開して接種を促進するならば、母親の意識を変えるような働きかけが重要と考えられた。有効な手法を開発していくことが必要」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)


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