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標高の高い地域に住むと肥満になりにくい―スペイン研究

 2015年05月14日 06:00

 標高の高い地域に住む人では、低い地域に居む人に比べて肥満になりにくいことが、スペイン・ナバラ大学医学部のマイラ・ベス=ラストローロ准教授(予防医学・公衆衛生学)らの研究から分かった。研究結果は、5月6~9日にチェコ・プラハで開かれた欧州肥満学会で報告された。標高456メートル以上の地域に住む人では、124メートル未満の地域の居住者に比べて肥満リスクが13%低かったという。

低酸素状態になると食欲抑制ホルモンが亢進

 標高の高い地域に住む人で肥満率が低いことは、これまでの研究で指摘されていたこと。しかし、地域住民を対象に標高と肥満の関連について調べた研究は、これまでになかったという。なお、標高が高い地域に住む人で肥満率が低い一因として、標高が高いと酸素が薄くなるが、低酸素状態になると食欲を抑えるホルモンのレプチンが多く作られることなどが挙げられている。

 ベス=ラストローロ准教授らは、ナバラ大学の卒業生が参加する研究から肥満でない9,302人を選び、8年ほどの追跡調査を実施。居住地の標高と肥満について調べた。居住地は郵便番号から割り出し、その標高によって(1)低(標高124メートル未満)、(2)中(同124~455メートル)、(3)高(同456メートル以上)―に分類した。

 分析の結果、標高が低い地域に住む人に比べ、高い地域に住む人で肥満になるリスクが13%低いことが分かった。

日本の大都市で450メートル超は少ない

 ベス=ラストローロ准教授らは「肥満率を下げるためにより標高の高い地域へ転居するのは非現実的だが、標高が450メートル程度でも肥満リスクが下がるというのは心強い結果」とコメント。現在、肥満以外の心臓病や動脈硬化などに結びつく要素と居住地の標高との関連についての研究も進めているという。

 ちなみに、日本では東京都23区や横浜市、川崎市、さいたま市、千葉県(、名古屋市内、大阪市など、最高点の標高が456メートルに届かない大都市は多い。東京都23区やさいたま市、大阪市は最高点が標高100メートルにすら届いていない。東京都内で標高450メートルを超える場所がある市町村は、八王子市、青梅市、あきる野市、日の出町、檜原村、奥多摩町のみとなっている(島しょ部を除く)。

(あなたの健康百科編集部)

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