ピーナツアレルギー防ぐなら「生後4カ月から食べるべき」
2015年06月15日 06:00
子供のピーナツアレルギーはやっかいな問題だが、今年2月に発表された研究結果は、ピーナツをいち早く食べ始めるとピーナツアレルギーになる危険性が下がるという、専門家にとっても「驚き事実」だった。これを受けて、日本アレルギー学会を含む世界のアレルギー関連学会はピーナツアレルギーに関する共同声明を発表した。生後4~11カ月という早い時期にピーナツを食べ始めることを推奨するなど、ピーナツアレルギーの予防に関する手引きが紹介されている。
早く食べ始めた子供でリスク8割減
日本アレルギー学会などによると、ピーナツアレルギーは先進国の子供の1~3%で見られるほか、米国ではこの10~15年で3倍に増えている。また、欧米に比べて少なかったアジアやアフリカでも目立つようになってきたという。
そんな中で発表された米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」(2015; 372: 803-813)掲載の研究結果は、専門家にとっても衝撃的な内容だったとされている。この研究は、ピーナツアレルギーになる危険性が高いながら、まだ発症していない生後4~11カ月の乳児640人を、ピーナツを早い時期に食べ始めるグループと遅い時期に食べ始めるグループに分け、発症リスクを比べたもの。結果は、早い時期に食べ始めたグループで、5歳の時点でピーナツアレルギーになる危険度が80%も低かった。
今回の共同声明では、この研究結果や従来の治療ガイドライン(指針)を基に、以下のような暫定的な手引きを示している。
- ピーナツアレルギーが多い国では、乳児期の早期(4~11カ月)にピーナツを含む食品の摂取を開始することを推奨すべき
- 乳児期の早期に別のアレルギーを発症している場合、ピーナツの早期摂取を始めるには、アレルギー検査など専門医らの診断が役立つかもしれない。家族と医師が検討することも適切だろう
「日本でも積極的に行うかどうかは今後の研究課題」
日本アレルギー学会は、NEJM誌に掲載された研究結果について「驚きの事実」と紹介。今回の共同声明の背景として、この発見に基づき、医療関係者のピーナツ早期導入の利益について理解を深めてほしいと説明した。
なお、同学会は注釈として「わが国において離乳早期にピーナツを積極的に摂取すべきかどうかは、これからの研究課題」「早期摂取で予防効果が得られたのは、ピーナツアレルギーを発症していない乳児に限られることに留意すべき。すでにピーナツアレルギーを発症している子供のピーナツ摂取は極めて危険な行為であることは言うまでもない」との見解を示している。
(あなたの健康百科編集部)