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MERS感染拡大は韓国の"風習"が関係か―WHOが報告書

 2015年06月16日 06:30

 韓国での中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の感染拡大を受け、現地で韓国保健福祉省と合同調査を行っていた世界保健機関(WHO)は6月13日、要因分析と政府への勧告を含む報告書を発表した。その中で、感染が拡大した要因として、医師にとってMERSコロナウイルスの出現が予想外だったことなどとともに、韓国ならではの習慣が挙げられている(関連記事:MERSに休校措置は意味なし? 韓国にWHOが勧告)。

人から人への感染力は変わらず

 韓国保健福祉省などによると、6月15日現在までにMERSコロナウイルス感染したのは150人、うち死亡16人。感染した人の年齢(中央値)は56歳(16~84歳)、男性が59%を占め、全体の7.9%に当たる10人が医療従事者という。

 こうした事態を受け、WHOは6月9日にケイジ・フクダ(福田敬二)事務局長補らが現地入りし、同13日まで韓国保健福祉省と合同で調査を行っていた。今回の報告書は、その調査結果を分析した上で作成したものだ。

 WHOは6月16日までに専門家による緊急会議を開き、韓国での感染拡大が国際的な緊急事態を宣言するかどうかを検討するとも発表している。しかし、報告書によると、韓国での新たなMERS感染者は日ごとに減ってきているという。監視体制の強化や感染制御が機能し始めていると分析されている。

 また、検出したウイルスを解析したところ、人から人へ感染しやすくなった変異は認められなかった。さらに、集団感染は医療機関内のみで、日常生活の中で感染拡大することの証拠はなかったと報告している。

"ドクターショッピング"も一因

 ではなぜ、短期間で医療機関の中だけで感染が拡大したのだろうか。報告書はその要因として、次の5つを推定している。なお、大勢の友人や家族が患者の受診に付いていったり見舞ったりすることは、韓国ならではの習慣という。

  • 多くの医師にとってMERSコロナウイルスの出現は予想外で、よく知らない病原体だった
  • 医療機関内での感染予防や感染制御策が十分でなかった
  • 一部の医療機関で救急処置室や病室が混雑していたことが患者間の濃厚接触を引き起こしていた
  • 感染者が複数の医療機関を訪れる、いわゆる"ドクターショッピング"をしていた
  • 大勢の友人や家族が受診に同行したり見舞ったりする習慣が二次感染の拡大に関連した可能性がある

(あなたの健康百科編集部)

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