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痛くなってからでは遅い! かかりつけ歯科医を持とう

 2015年06月17日 17:30

 口の中を清潔に保つためには、歯磨きなど日頃のケアに加え、定期的に歯科でチェックしてもらうことが大切だ。5月21日に神戸大学整形外科で開催されたリウマチ教室「リウマチとお口の管理の必要性」(司会=同科・三浦靖史准教授)では、歯科口腔(こうくう)外科の歯科衛生士、西井美佳氏が「虫歯や歯周病になってから歯医者さんに行くのでは遅い! かかりつけの歯医者さんを持ちましょう」とアドバイスした。

毎日の歯磨きでプラークを除去するのが最も大切! 

 虫歯や歯周病には、必ずプラーク(歯垢=しこう)が関係している。西井氏は「日頃の歯磨きでプラークを綺麗に除去して口の中を清潔に保てば、口の健康を守れます」と説明する。

 どこが汚れているのかをよく知ることが第一歩。染め出し液を使ってプラークがたまりやすい部分をチェックしてみるのも大切だ。「プラークがたまりやすい場所は、歯と歯の間、歯と歯肉の境目、奥歯のかみ合わせの溝です」(西井氏)

 歯の表面を磨くときは、歯ブラシの先を歯の表面を直角に当てる。歯と歯肉の境目は、ブラシの先を45度の角度で当てて磨くとよいという。歯ブラシの交換時期は約1カ月が目安。毛先が広がったら交換しよう。

歯がなくなっていたらケアは不要? そんなことはありません

 唾液が減ったり、物がのみ込みにくくなる嚥下(えんげ)障害が起きたりすると、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)のリスクが高まる。誤嚥によって口の中の細菌が気管から肺に流れこむと、誤嚥性肺炎が起きてしまう。特に免疫力が低下している場合は、注意が必要だ。

 高齢者の肺炎の70%以上が誤嚥に関連しているといわれており、誤嚥性肺炎を防ぐ上でも口腔内を清潔にしておくことが大切だと西井氏は言う。

 また、歯を全て失ってしまっても口腔ケアは不要になるわけではない。西井氏は「口の中の細菌はプラークや食べ物のかすがあるから増えるわけではなく、口の中の粘膜や舌などでも増殖します。口の中の細菌を減らすためには、歯の汚れだけではなく、歯茎や舌、口の粘膜のお手入れも重要です」と注意を促した。

歯医者さんに行きたくない人に助言

 普段からきちんと歯磨きをしていても、特に唾液がたまりやすい前歯の裏などでは、唾液に含まれているカルシウムが沈着して歯石が付いてしまう。早めに予防するためにも、定期的に歯科でチェックを受けて歯石など日常の歯磨きでは取り切れない汚れを掃除してもらうことも大切だ。

 とはいえ、歯医者さんが好きな人は決して多くないはず。歯科にかかりたくなくて、ついつい及び腰になる人もいるのではないだろうか。そんな人に向けて、西井氏は次のように説明している。

 「歯医者さんに行きたくない理由として、"痛いことをされるから""一度行っただけでは終わらず治療に何カ月も通わなければならないから""一度予約を忘れるとそのまま足が遠ざかってしまうから"といった声をよく聞きます。しかし、歯科の立場からこの声に回答すると、"痛くなってから受診するから痛みを伴う治療が必要となる""症状が出てから治療を始めるので治療期間が長期に及んでしまう"のです。予約を守って治療が確実に終わるまで受診するのが、長い目で見れば最も手間がかからないのです」

 「早期発見・早期治療」といわれてきた歯科治療だが、最近では「早期発見・予防」の重要性を強調されている。西井氏は、かかりつけの歯科医をつくって定期的(3~6カ月)に口の中の状態に応じた治療を受けましょうとしている。

いつもの歯医者は"かかりつけ"でない?

 ところで、かかりつけの歯科医とはどんな歯医者さんなんだろうか。西井氏によると、口の中にトラブルが起きたときに行くだけに通っているのは、かかりつけ歯科医とは言えないという。定期的に予約をして通っている歯医者さん、それがかかりつけ歯科医とのことだ。

 「定期的に予約をして受診し、ホームケアの方法を教えてもらうことで、虫歯や歯周病の早期発見と予防につながります。定期的な歯科でのチェックと日頃の歯みがきをぜひ継続してください」と西井氏は呼びかけた。

Q&A
Q. 歯磨きペーストに粗塩を混ぜてもいいですか?
A. 粗塩の結晶は粗く歯茎を傷つけてしまうことがあるためオススメしません。
Q. 関節リウマチの発症に歯周病が関与しているという情報を知りました。歯周病を治せば関節リウマチも治るのでしょうか?
A. 歯周病と関節リウマチの発症に相関があるとの報告もありますが、関節リウマチの発症については、まだ明らかになっていないことが多く、決定的な要因も未だ不明です。ですから、歯周病を治せば関節リウマチが治るといった単純なものでもありません。いずれにしても、口の中を清潔にしておくことは健康上とても大切なことです。

(長谷川 愛子)

神戸大学整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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