新型出生前検査、一般妊婦も受けてOK―米医学会が勧告
2015年07月17日 17:30
妊婦の血液から、おなかの中の赤ちゃんにダウン症などの染色体異常があるかどうかを調べられる新型出生前診断。日本や米国などではこれまで、高齢をはじめ胎児に染色体異常が発生するリスクの高い妊婦に限って推奨されてきたが、米国産科婦人科学会はこのたび、リスクが高くない一般の妊婦でも受けてもよいとの勧告を発表した(関連記事:新型出生前診断の精度、6カ国1.5万人で検証)。
検査の限界・利点を理解して
2011年に新型出生前検査が可能になった米国では、同学会などが以下のような胎児の染色体異常リスクが高い妊婦に限って推奨してきた。
- 高齢(35歳以上)
- 染色体異常のある胎児を妊娠したことがある
- 他の検査で胎児に染色体異常の可能性が指摘された
その後、こうした高リスクに当てはまらない一般の妊婦に対する新型出生前検査の研究結果が集積してきたことを受け、勧告の変更に踏み切ったという。
今回の意見書では「妊婦の状況にかかわらず、染色体異常かどうかをふるい分ける一つの方法として、新型出生前検査を選ぶことができる。ただし、検査を行う場合には、他の方法との位置付けや検査の限界・利点を理解することが必要」との見解が示された。
一般妊婦では陽性的中率下がる
ただし一般の妊婦では、3つの染色体異常(13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー=ダウン症)に対する陽性的中率(染色体異常を正確に染色体異常と判定する割合)が高リスク妊婦に比べて低いなどの限界がある。そのため意見書では、現時点では一般妊婦の大多数にとって、従来の検査(超音波検査や母体血清マーカー検査)が一次検査として最も適切との勧告も同時に示されている。
また、複数のスクリーニング法の同時実施は費用と効果のバランスの観点から行うべきではないこと、新型出生前検査の結果だけで、中絶を含めた妊娠の方針を決めるべきではないなどの勧告も示された。
日本では2013年3月、日本産科婦人科学会などが「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」で、高リスク妊婦のみに行うことを推奨している。
(あなたの健康百科編集部)