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重い喘息に新たな一手、気管支を直接温める治療法

 2015年07月30日 06:00

 薬や吸入器などの進歩によって、喘息(ぜんそく)の治療は大きく進歩した。それでも、薬で症状がきちんとコントロールできない重症の患者は少なくない。こうした中、薬を使わずに喘息発作の症状を和らげる「アレア気管支サーモプラスティシステム」(ボストン・サイエンティフィックジャパン)を使った治療が、今年4月から健康保険を使って受けられるようになった。高周波の電流で気管支の壁を温めて気道の腫れをおさめ、発作を緩和するというもので、喘息治療の新たな手段として期待されている。7月16日に同社が東京都内で開いたプレスセミナーでは、この機器について国立病院機構東京病院の大田健院長(呼吸器内科・アレルギー)らが解説した。

65度で10秒間温める

 喘息の治療は進歩したものの、薬をきちんと飲まない患者や自己判断で服薬をやめてしまう人、さらに薬の吸入が十分にできない高齢者など、さまざまな課題が残されている。また、依然として薬が効きづらい重症の患者もいるのが実情だ。

 「アレア」は、気管支内視鏡を使って電極の棒(カテーテル)を気管支に入れ、気管支の壁を65度で10秒間温めるというもの。温めることで腫れた気道平滑筋の量を減らし、気道の反応を抑えて発作の症状を和らげるという。

 治療の対象になるのは、吸入ステロイドや長時間作用型β(ベータ)2刺激薬の用量を多くしても症状がコントロールできない18歳以上の重症喘息患者。3週間以上の間隔を空けて3回行う。1回の所用時間は約60分だが、1~2泊の入院が必要となる。治療は、日本呼吸器内視鏡学会専門医の指導の下で呼吸器科医が行い、場所は合併症に対応できる施設が条件となる。

発作を5年間軽減

 なお、同システムはあくまで薬による治療の補完で、同システムの治療を行った後も薬による治療は続けることになっている。ただ、大田院長は「肥厚した気道平滑筋量に着目し、狭窄(きょうさく)の程度を減少させるという点で画期的な治療法であることは間違いない」と評価している。

 また、近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科の東田有智教授は、喘息の発作が出ないときも患者に薬を飲ませ続けさせるのは難しいと指摘。臨床試験で発作を5年間、軽くできることを紹介した上で、同システムによる治療を検討する意義があるとした。

(あなたの健康百科編集部)

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