3Dプリンターで作った薬を承認、来春に発売へ―米当局
2015年08月07日 06:00
米国の規制当局である食品医薬品局(FDA)は8月3日、3Dプリンターで製造した医薬品を世界で初めて承認した。承認されたのは、「スプリタム(Spritam)」(一般名・レベチラセタム)というてんかん治療薬。日本では「イーケプラ」の商品名で処方されている。溶けやすいためひと口の水で服用でき、苦みも抑えられているという。2016年3月までに米国内で発売される予定。
薬への応用は世界初
3Dプリント技術で薬を製造するのは、用量や薬の形を変えることが簡単・安価にできる点などが期待されている一方、偽造品や模造品などへの懸念も指摘されている。医療分野ではこれまで、臓器や義手、義足などで3Dプリント技術の応用されているが、医薬品への応用は今回のスプリタムが初めてという。
開発した米アプレシア製薬によると、スプリタムには「ジップドーズ(ZipDose)」と呼ばれる技術が用いられており、粉末状の原薬と液体を幾重にも重ねることで、ごく少量の水で素早く崩れる錠剤がつくれるという(動画)。また、精密な用量調整や1錠に高用量の有効成分を入れることも可能なようだ。
スプリタムは1錠に1,000ミリグラムの成分を配合。ひと口の水で服用でき、苦味も抑えられていることから、アプレシア社は「てんかん患者の服薬コンプライアンス(規定通り服薬すること)の向上が期待される」と説明している。
なお、現時点でどういった患者が適応となるのかなどは示されていないが、2016年3月までの発売が予定されている。同社では今後も、中枢神経系の領域を中心にさまざまな3Dプリンター製の薬を開発していく見通し。
(あなたの健康百科編集部)