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糖尿病の女性は認知症になりやすい? フィンランド研究

 2015年08月20日 06:00

 糖尿病(2型)と認知症、これからの日本で増えていくことが予想されている病気だが、この2つが女性に限って関連がある可能性が示された。フィンランド・トゥルク大学のラウラ・L・エークブラード氏らは、国民データベースを使って調査した結果、インスリン抵抗性(糖尿病の前段階)の女性では、認知症に関係する「言語流暢(りゅうちょう)性」が悪化するリスクが高かったと、8月15日発行の欧州糖尿病学会誌「Diabetologia」(電子版)に報告した。男性ではこの関連がみられなかったという。

30~97歳の男女6,000人を調査

 インスリン抵抗性は、膵臓(すいぞう)から分泌される血糖値を下げるホルモンのインスリンが十分に働かない状態。膵臓が疲れてインスリンを作る量がだんだんと減っていき、食後高血糖、さらには糖尿病へとつながっていく。一方、言語流暢性は、言葉を素早く、適切に処理する能力のことで、認知症や統合失調症などではこの能力が低下するといわれている。

 糖尿病とアルツハイマー病や認知機能低下は、これまでの研究で関連が指摘されており、最近の研究では脳でもインスリン抵抗性が発生し、それがアルツハイマー病の引き金になる可能性があると報告されている。

 エークブラード氏らは今回、フィンランドに住む30~97歳の男女5,935人(年齢中央値52.5歳、女性55%)を対象に、インスリン抵抗性とアルツハイマー病の危険因子となるアポリポタンパクEの変異(εアレル)や認知機能との関連を調べた。

因果関係は確定できず

 その結果、女性ではインスリン抵抗性が高さと言語流暢性の低下が関連していたが、男性ではこの関連が認められなかった。また、インスリン抵抗性が高いことは、アポリポタンパクEの変異がない人の言語流暢性の低下と関連していたが、変異を持つ人では関連は認められなかったという。

 これまでの研究では、アポリポタンパクEの変異がない人は、変異を持つ人に比べてインスリン製剤を投与することによる認知機能の改善が大きいこと、その効果は男女で差があることなどが報告されている。エークブラード氏らは、こうした結果が今回の研究でも裏付けられたと結論している。

 ただし、横断研究という手法のため両者の因果関係は不明であること、言語流暢性は認知機能の低下を検知する最良の指標ではないなどと指摘。女性の認知機能低下を示す早期マーカーとしての有効性を評価するには、2回以上調査を行う縦断研究での検討が必要としている。

(あなたの健康百科編集部)

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