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「関節保護」って知っていますか?―神戸大リウマチ教室

 2015年08月26日 10:30

 関節リウマチの治療は、薬物療法、手術療法、ケア、リハビリテーションの4つの柱から成る。治療の中心となる薬物療法のことはよく知られているものの、リハビリテーションについてはあまり知られていないことも多いようだ。6月29日に開催された神戸大学の整形外科リウマチ教室「関節保護と運動療法」(司会=同科・三浦靖史准教授)では、同大学リハビリテーション部の理学療法士、松野凌馬氏が「発症早期から日常的に関節保護を実践することが大切です」などとアドバイスした。

発症早期からの関節保護で関節を守れる

 関節リウマチによる関節の破壊は発症2年の間に起こることが知られており、発症早期から関節を守ることが大切だ。薬物療法が飛躍的に進歩した今では、発症早期から関節の炎症や痛みを抑えて関節の破壊を防げるようになってきた。 

 こうした薬物療法の進歩に伴って、リハビリテーションの目的も変化しているという。

 「これまでは、関節が壊れて徐々に制限される日常生活動作を代償する方法を身につけてもらうことが主な目的でしたが、今では、発症早期から日常生活の工夫や装具を使うといった関節保護を実践することで、筋力や関節の動かせる範囲を維持したり関節の使い過ぎを防ぐなど、より積極的に関節を守れるようになっています」(松野氏)

 関節リウマチによって壊れやすくなっている関節は、立ったり座ったり家事をしたりなど、日常生活で繰り返されるさまざまな動作によって負荷がかかるために変形や破壊が進んでしまう。しかし、関節保護の方法を身に付けておけば、関節の痛みを和らげたり変形が起きるのを防ぎながら、日常生活の動作を楽に効率良く行えるようになるのだ。

若いリウマチ患者ほど関節保護の認知度が低い

 一方、関節リウマチ患者の間でも、"関節保護"という言葉の認知度は意外と低いようだ。

 「400人の関節リウマチ患者さんに調査した結果では、関節保護の指導を受けたことがあると回答した人は25%にとどまり、若い患者さんほど指導を受けたことがない傾向にありました。関節保護の指導を受けたことがない人では、関節保護という言葉自体の認知度が低いのです。発症早期から関節保護を実践することが大切なので、発症して間もない若い患者さんも、ぜひ知っておいてください」と松野氏は言う。

日常生活で注意すべきポイントは?

 それでは、関節保護とは具体的にどのようなものだろうか。松野氏は、日常生活で注意すべき以下のポイントを紹介した。

  • 痛みに気を配ること。痛みが少ない動作に努めましょう
  • 筋力と関節の動きをできるだけ維持すること。筋力が弱いと関節部分にかかるストレスは大きくなるので、筋力をつけて関節を柔軟に保つこと大切です
  • 手や足の指のような小さい関節や、首や肩、腰の関節は変形が起こりやすいので使い過ぎを避けること。強い関節や大きい関節を使うように心がけるとともに、使い過ぎないよう気をつけましょう
  • 長時間にわたって同じ動作を続けないこと
  • 自助具などを使って関節を保護すること

(長谷川 愛子)

神戸大学整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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