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NYの平和と健康

 2015年11月02日 06:00

 2011年のテロ後、ニューヨーク(NY)は9月11日に、特別な時間を取っています。今も続く悲しみをさまざまな国の言葉で表現し、忘れないよう思い出す。今年は消防隊や救急隊だけではなく、電車の職員にもスポットライトが当てられ、当時の混乱を陰で支えた英雄として市民は彼らを称えました。

銃が身近にある暮らし

 この原稿を書いている最中に、テレビから銃による殺人事件の報が流れてきました。ここウエストチェスターでも先日、警官が犯人との銃撃戦で、誤って一般市民を撃ってしまうという事件が発生しています。

 NYでは、銃の危険性について何度も話し合われてきたそうです。お隣のカナダでは、ライフルは一般家庭で普通に保持されており、規制する必要はないという意見が多いとのこと。ライフル射撃はスポーツとして今も世界中で盛んで、銃が悪いのではなく、使う人が悪い、さらにNYの状況が悪いということになるでしょうか。

 先日、ニューヨーク市警に勤める男性に、銃を見せてもらいました。彼は、休日も常に銃を携帯しています。また、自宅の地下にある大きく頑丈な金庫には、他の銃も保管しているんです。銃を持たせてもらって良いか尋ねると、彼は快くOKしてくれました。

銃のストレスが健康を害す?

 彼から渡された銃は、私に戦争や悲惨な事件よりも先に、この男性の真剣で真摯(しんし)な毎日を想起させてくれました。彼は、ジャマイカがルーツの黒人で、妻と3人の子供の5人で暮らしており、若い頃からNYで警官をしています。私が「"白人の警官と黒人の一般市民"の問題が何度か報道されているけど、黒人の警官としてどう思う?」と尋ねたところ、彼の返答は素っ気ないものでした。「白人か黒人かは関係ない。事件のある所に行って人を守るだけ」

 ストレスは、健康に最も良くないことの一つとされており、その一つに動脈硬化の促進があります。動脈が硬くなれば血圧は上がり、破裂する可能性が高まる。破裂が脳や心臓の血管で起これば死につながります。

 NYのパーソナルトレーナーは運動前の健康調査で、顧客に「銃を携帯していますか」と尋ねることがあります。ストレスの度合いを測り、トレーニングプログラムに反映させるためです。銃がものすごく身近にある彼と彼の一家の健康を祈ります。

スタントン治子(すたんとん・はるこ)

 神戸市生まれ。健康運動指導士、インド中央政府認定ヨガ教師、全米ヨガアライアンス250h、ピラティスPFA、シバナンダヨガ認定、ジャイロキネシス認定、パーソナルトレーナー。レヴァン(現ティップネス)のフィットネストレーナーなどを経て、1994年にパーソナルトレーニングを開始。ヨガやピラティスの講師や団体顧問トレーナーも務める。2013年、結婚を機に米国へ移住。現在は、マンハッタンのベッドタウンであるニューヨーク州ウエストチェスターでパーソナルトレーナーとして活動している。NHK総合の番組でジャイロキネシスの指導を依頼されるなど、メディア出演も多数。

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