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子宮頸がんワクチン、副作用の証明できず―EU当局の調査

 2015年11月17日 06:00

 日本でも少なくない数が報告されている、子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)の有害事象(ワクチンとの因果関係がはっきりしないものも含めた副作用)。欧州連合(EU)の医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA、ロンドン)は11月5日、デンマーク当局の要請で今年7月から行っていた検証の結果を発表、「現在、利用可能なエビデンス(根拠となる研究結果)では、子宮頸がんワクチンと有害事象の因果関係が示されていない」と結論した(関連記事:子宮頸がんワクチンの安全性評価を開始―EU当局)。

専門家や患者団体からの情報も含めて評価

 子宮頸がんワクチンの有害事象は日本だけでなく、世界的に報告されており、各国で調査が行われている。これについて、世界保健機関(WHO)は、特定の病気が偶然、ワクチンの接種と同じ時期に起きているのか、それともワクチンによるものなのかを把握するため、特定の病気の確実な集団特異的あるいは年齢特異的なベースライン値、つまり、ある集団や年齢層での普通の発症率を把握するよう勧告している。

 今回の調査では、欧州地域で承認されている「サーバリックス」(2価ワクチン)、「ガーダシル」(4価ワクチン)、「ガーダシル9」(9価ワクチン、日本未承認)の3種類の子宮頸がんワクチンを対象に、報告されている「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」と「体位性起立性頻拍症候群(POTS)」の有害事象との因果関係が調べられた。

 この調査で注目なのが、文献や臨床試験、有害事象の報告だけでなく、CRPSやPOTSの専門家グループの意見や、患者団体から提供された詳細な情報も評価の対象にした点だ。その上で同庁は、現時点では子宮頸がんワクチンとCRPS、POTSとの因果関係は示されなかったと結論した。

「依然として危険性を上回る利点あり」

 同庁は「CRPSとPOTSは、他の病気を併発している場合があり、一般人だろうとワクチンを接種人たちだろうと、診断するのが難しい」と指摘。CPRSとPOTSの患者数はそれぞれ100万人に約150人と推計されているが、子宮頸がんワクチンを接種した人のみを調べても変わりなかったという。

 こうしたことから、同庁は「現在の子宮頸がんワクチンの使用方法や添付文書を変える理由は見当たらない」と判断。「子宮頸がんワクチンの利点は、依然として危険性を上回っている」との見解を示している。

 弊社の医師向け情報サイト「Medical Tribune」には、医師会員から以下のような声が寄せられている。

「このように信頼できるデータを公表するのが必要だと思う」
「日本の場合もたまたまそのような疾患や線維筋痛症と合併したケースが多いように思いますがね。いずれにせよHPVワクチン接種により年間約5,000人が子宮がんにならなくても済むということを考えて欲しい」
「科学的に『HPVワクチンのベネフィットは、リスクを依然上回っている』ことが明らかであり、先進国のワクチン接種率が高い状況を考えると、個人的には必要だと思うのですが」

「因果関係は示されていない=don't detected、要は分からないだけで、ないわけではない」
「因果関係に関係なく、しばらくは接種する方はいないでしょうね」
「安全性が確立されていない感じがします」
「結果は結果として受け入れるべきだと思いますが、人種の違いによる影響も考慮する必要があるようには思います」

「ZARDの坂井泉水やシーナなど子宮頸がんで比較的若く亡くなった人、大竹しのぶのように危ない目に遭った人たちがいる状況と、障害が残っているのは日本でも1万人に1人ぐらいの副作用と、どちらのリスクを取るかでしょう」
「看過できないような副作用CRPS、POTSが発生するようですが、メリット(発がんなどをどの程度予防できているのかなど)をしっかり評価して判断するしかないのでしょうか? でも、副作用が発症した方は誠に気の毒で、その場合にバックアップ体制をしっかりすることも大切でしょう」
「われわれ実地医療家が知りたいのは、"ではどうするか"ということです。特にマスコミ報道の"悲惨な事例"をどう解釈するかではないでしょうか」

(あなたの健康百科編集部)

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