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真っ黒な肺の写真がパッケージに...喫煙者も「賛成」5割

 2016年05月30日 11:30

 喫煙はがんや呼吸器の病気、心臓病などさまざまな病気の危険性を高めることが知られている。たばこのパッケージにも健康への害について注意を促す警告文が記されているのはご存じだろう。しかし、実際にたばこを手に取る喫煙者で警告文を気にする人は少数派かもしれない。どのようなパッケージなら、たばこによる害が喫煙者に伝わるのだろうか―5月31日の「世界禁煙デー」を前に、国立がん研究センターが発表したたばこパッケージの警告表示に関する意識調査の結果からは、文字だけの警告よりも、真っ黒になった喫煙者の肺や胎児などたばこによる健康への害を伝える写真がついた警告の方が、喫煙者に認識してもらいやすいことが明らかになった。さらに意外にも、そうした写真付き警告表示の導入に反対する人は喫煙者でも2割にとどまり、賛成する人が5割を占めていたという。

既に77カ国が写真入り警告表示を導入

 海外では真っ黒になった喫煙者の肺や壊死した足など目をそらしたくなる写真が表面積の大部分を占め、たばこの害がダイレクトに伝わるパッケージが普及している。中でも、警告表示だけが大きく強調され、たばこのブランド名は見過ごしてしまいそうなほど小さく控えめに記すことが義務付けられているのがオーストラリアだ。同国では2012年に世界保健機関(WHO)が推奨している「プレーン・パッケージ」と呼ばれるパッケージデザインが世界に先駆けて導入された。これは、たばこの味や香りを想起させるような色やデザインを一切排除し、銘柄を問わず全てのたばこのパッケージの色や文字のフォントを統一する、というルールに則ったもの。同国では同パッケージの導入後、たばこへのさらなる増税も加わって、喫煙率が大幅に低下したという。

 こうしたパッケージの導入はオーストラリアだけでなく英国やフランスでも進んでおり、導入を検討する国も増えつつある。一方、写真入りの警告表示を取り入れている国も2015年時点で77カ国に達しているという。こうした国々と比べると、わが国ではたばこのパッケージにおける警告表示はかなり控えめといえる。

 今回発表された意識調査は、国立がん研究センターが喫煙率を減少させるための取り組みの一環として、4月9~14日に喫煙者1,000人を含む成人2,000人、未成年者(16~19歳)440人を対象としてインターネットで実施したもの。喫煙による害(「肺がん」「心筋梗塞」「脳卒中」「肺気腫」「歯周病」「依存形成」「胎児への悪影響」など)について注意を促す表示を「小さな文字だけ」「大きな文字だけ」「写真付き警告」など複数のパターンで示し、内容を読もうと思わせる表示がどれかについて聞いた。

 調査結果の概要は以下の通り。 

  • 喫煙者に警告表示を認識してもらい、読んでもらう効果が最も高いのは文字だけの警告よりも写真付きの警告
  • ほとんどの写真付き警告表示パターンについて、写真を「不快」「不適切」と感じる喫煙者が半数以上を占めた
  • ただ、個別の表示パターンについて「不快」「不適切」と感じる喫煙者が過半数を超えていても、写真付き警告表示の導入に「賛成」と回答した喫煙者は約5割に達し、「反対」としたのは2割だった。非喫煙者を含めると、成人の7割が写真付き警告表示の導入に「賛成」と回答した
  • 警告表示の面積を大きくすることについても、喫煙者の約5割、成人全体の7割が「賛成」と回答した

  同センターは「わが国ではたばこの健康へ影響に関する情報提供のあり方には大きな改善余地がある。世界レベルのたばこ対策を目指して、まずは警告表示の面積の拡大や写真付きの警告表示の導入を急ぐべき」と指摘。また、「今回の調査から、こうした対策が多くの国民に支持されることが明らかになった」としている。

(あなたの健康百科編集部)

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