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エコノミークラス症候群のリスクが最も高い血液型は?

 2016年05月31日 06:00

 血液型によって病気のかかりやすさに違いがあるかもしれないことをご存じだろうか。たとえば、米国で実施された調査では、AB型の人は他の血液型の人に比べて脳卒中や認知機能障害になる危険性が高いことが示されている(関連記事:AB型の人は脳卒中リスクが3割高い―米研究認知障害になりやすい血液型は?―米研究で関連指摘)。また、O型の男性は前立腺がんの再発リスクが低いこと(関連記事:O型の男性は前立腺がんを再発しにくい―東京医大)、O型の女性は2型糖尿病になるリスクが低いこと(関連記事:糖尿病リスクが高い血液型とは? 仏女性8万人を調査)なども報告されている。さらに4月12日発行の米医学誌「Circulation」(2016;133:1449-57)に掲載された論文によると、スウェーデンとデンマークで献血に協力した約110万人を10年以上追跡した調査から、静脈血栓塞栓(そくせん)症、いわゆるエコノミークラス症候群についても、発症リスクが最も高い血液型と、最も低い血液型が明らかになったという。はたして、それらの血液型とは―?

血液の固まりやすさに関係する「凝固因子」の濃度が影響か

 調査を実施したのはスウェーデン・カロリンスカ研究所疫学・生物統計学部のグスタフ・エドグレン氏ら。スウェーデンとデンマークで献血に協力した男女111万2,000人を平均で12.6年間、追跡調査した。A型は48万6,000人、AB型は5万6,000人、B型は12万4,000人、O型は44万6,000人だった。このうちO型以外の血液型(A型+AB型+B型)の人では、O型の人に比べて静脈血栓塞栓症を発症するリスクが1.8倍で、特に妊娠に関係した静脈血栓塞栓症のリスクは2.2倍と高いことが明らかになった。

 また、血栓塞栓症ほどではなかったが、心筋梗塞や脳卒中を発症する危険性も、O型の人に比べてO型以外の血液型の人では7~10%高いことが分かった。さらに血液型ごとに詳しく分析したところ、静脈血栓塞栓症のリスクはAB型で最も高く、O型の人に比べて2倍だった。一方、A型とB型の人のリスクはいずれもO型の人の1.7倍だった。

 この調査結果からは、血栓塞栓症のリスクが最も高いのはAB型で、最も低いのはO型である可能性が示されたが、このように血液型によってリスクに違いがあるのはなぜだろうか。エドグレン氏らによると、血液の固まりやすさに関係する成分である「凝固因子」の血液中の濃度がO型の人に比べてO型以外では高いことが分かっており、このことが血液のかたまりを原因とする病気である血栓塞栓症をかかりやすくしている一因かもしれないとの考えを示している。

 なお、弊社医師向け情報サイト「Medical Tribune」では、会員医師から「情報としては興味深いが、O型だから予防しなくても良いというわけではない」とO型の人にも予防の必要性を呼びかけるコメントがあった他、「血液型と病気の関連について海外からの報告は多い。日本で血液型占いばかりやっている場合ではない」との意見も。さらに、「なぜ血液型によってリスクに違いがあるのか、より詳細に検討してほしい」との声も複数上がっていた。

(あなたの健康百科編集部)

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