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禁煙治療、「面倒臭さ」「費用」「時間」ハードルに

 2016年06月10日 06:00

 医療用アプリなどを手がけるキュアアップが6月8日に発表した禁煙治療の実態調査から、既に禁煙外来を受診するなど医学的な治療を受けている喫煙者は、その効果を実感している一方で、禁煙を希望していても「面倒臭さ」「時間をとられる」「費用の高さ」などを理由に治療を受けない喫煙者が多いことが分かった。この結果を受け、医師で同社CEOの佐竹晃太氏らは「医学的な根拠があり、かつ禁煙を希望する喫煙者が利用しやすい新たな治療手段が必要」との見方を示している。

禁煙希望でも禁煙外来の受診経験者は1割にとどまる

 5月31日の世界禁煙デーに合わせ、わが国でも各地で禁煙を呼びかけるさまざまなイベントが開催された(関連記事:「他人のたばこの煙で年間1万5,000人死亡―厚労省」)。しかし、いまだに成人の喫煙率は高く、男性では32.2%とほぼ3人に1人が喫煙しているのが実情だ(2014年厚生労働省調べ)。国は東京オリンピックが開催される2020年までに成人の喫煙率を12%まで低下させることを目標として掲げている。あと4年以内に目標値まで引き下げるには、どうしたら良いのか―。佐竹氏らは今回、禁煙治療の実態を把握し、今後どのような禁煙ツールが必要なのかを明らかにするため、全国の禁煙を希望する喫煙者515人と禁煙挑戦者(既に禁煙治療を受けるなど禁煙に取り組んでいる喫煙者)160人を含む合計756人を対象にインターネットで調査を行った。

 まず、禁煙に挑戦したが継続できなかった原因として多かったのが、「『吸いたい』という気持ちを抑えられなかった」(40%)、「口寂しさから」(32%)、「仕事によるストレスをたばこで解消できないことに耐えられなかった」(25%)といったもの。一方、禁煙外来やニコチン製剤といった医学的な治療を受けた喫煙者が、その主な効果として挙げていたのも「『吸いたい』という気持ちを抑えられた」(禁煙外来:35%)、「口寂しさが抑えられた」(ニコチン製剤:33%)といったもので、こうした治療が禁煙失敗の原因となるさまざまな症状に有効であることが明らかになった。

 つまり、こうした医学的な手段をとれば禁煙の成功が近づく可能性が高まることが示唆されたわけだ。しかし、実際に治療を受けた経験のある喫煙者は少数派で、禁煙外来の受診経験者は11%、ニコチン製剤の利用経験者は9%にとどまり、「あめやガム、フリスク」で禁煙を試みた喫煙者が45%と最も多かった。さらに、禁煙外来を利用しない理由して最も多かったのは「通院が面倒」(42%)で、「費用が高い」(36%)、「通院する時間がない」(23%)が続いた。

 今回の調査結果を踏まえ、佐竹氏らは「有効であることが分かっている禁煙外来を、もっと多くの人に利用してもらえるよう、禁煙挑戦者やその家族に周知していく必要がある」と強調。また、「面倒」「時間がない」「費用が高い」といったことが治療への障壁になっていることから、「医学的な根拠に基づいた、利用しやすい治療手段やツールが望まれる」としている。

 なお、同社は慶應義塾大学医学部呼吸器内科学教室と共同でニコチン依存症治療用アプリを開発。現在、臨床試験を行っているという。従来の禁煙治療に、より手軽に利用できる禁煙治療アプリという選択肢が加わる日も近いかもしれない。

(あなたの健康百科編集部)

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