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大腸がん検診、受診者増の一方で認知進まず

 2016年09月09日 06:00

 日本では近年、大腸がんにかかる人の数が急増し、この30年で約6倍となった。その昔は、不治の病とも言われていたがんだが、早期発見・早期治療であれば多くが治るようになり、大腸がんであれば95%以上が治癒するという。大腸がん検診は、自覚症状のない初期の段階でがんを発見することができるため、非常に有効とされている。大腸がん検診の啓発活動を推進するNPO法人ブレイブサークル運営委員会が実施した「大腸がん検診に関する意識調査」では、検診を受けている人は1年前の前回調査時に比べて増えた一方、検査の内容が便潜血検査であると正しく理解している人は60%未満と、前回の調査と変わっていないことが明らかになった。調査結果は、過去に実施したものも含め、同法人のウェブサイトに公開されている。

「毎年受けている」が前回調査より2.1ポイント上昇

 国立がん研究センターが発表した「2016年のがん統計予測」によると、がんにかかる人の数をがんの部位別に予測した数値は、結腸・直腸を合わせた大腸がんが第1位だった。また、がんで死亡する人の数の予測値は、第2位となっている。

 多くの大腸がんは、初期症状がないまま進行すると言われている。便に血が混じったり、腹痛を起こしたりといった自覚症状が現れた時には、既にがんがかなり進行し、転移を起こしていることも多い。

 そこで、有効なのが、大腸がん検診だ。大腸がん検診として広く行われているのが「便潜血検査」。排出された便の中に血液反応があるかを調べて、出血の有無を確認するというものだ。痛みを伴うような検査ではないので、体への負担は軽い。

 大腸がんで亡くなる人を減らすことを活動の中心に据える同法人では、大腸がん検診に関する調査を2012年から毎年行っている。今回の調査対象は、検診の対象世代である40~60代の男性7050人、女性7010人で、インターネットにより実施された。

 その結果、大腸がん検診を「毎年受けている」と回答した人は39.9%で、前回の調査に比べ2.1ポイント上昇した。一方で、「全く受けたことがない」と回答した人は28.3%。その理由として、「費用がかかるから」「どんな検診内容なのか知らなかったから」「便の提出が面倒くさいから」などが挙げられた。

 「検診の内容を知っていたか」という質問に対して、正しい検査内容(便潜血検査)を選択できた人は58.5%で、前回の調査同様、40%以上が検診の内容を正しく知らないことが明らかになったという。

 今回の調査結果を踏まえ、同法人は「国民一人ひとりが大腸がんに関する正しい知識を持って検診を受ければ、早期発見・早期治療の機会を逸するという事態を避けられるのではないか」とコメントし、大腸がん検診の重要性を強調している。

(あなたの健康百科編集部)

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