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寝不足がダイエットに大敵な理由とは?

 2017年01月17日 06:00

 年末年始の暴飲暴食がたたり、怖くて体重計に乗れない・・・なんていう人も、この時期多いのではないだろうか。今年の目標にダイエットを掲げ、「○キロ減」と心に誓っている人もいるかもしれない。ダイエットを始める前に、食欲と寝不足、脳の働きとの関係について、ちょっと心に留めておきたいことがある。このほど、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構のミハエル・ラザルス准教授らの研究グループが、浅い眠りの「レム睡眠」の量を減らすと、ショ糖(砂糖)や脂質などの太りやすい食べ物を食べ過ぎてしまうという原因の一端を、マウスを使った研究で明らかにした。本研究の詳細は、12月6日発行の医学誌「eLife」(電子版)に掲載されている。

寝不足時の食欲を、脳が直接制御

 睡眠不足は、体重が増加する要因の1つとされている。睡眠不足の人は、十分な睡眠をとっている人に比べて、甘いものや脂っこい食べ物をより多く食べてしまい、太りやすくなる傾向があるのだという。睡眠の中でも特に、レム睡眠が不足すると、体重が増加するといった報告もある。

 しかし、睡眠不足になるとなぜ高カロリーのものが食べたくなるのかははっきりしていない。味や香り、食感など食べ物の好みを判断している脳の「前頭前皮質」という部位が重要な役割を果たしていそうだとは考えられてきたが、睡眠との直接的な関係は分かっていなかった。

 そこで、研究グループは、マウスのレム睡眠だけを減少させることができる器具を用いてレム睡眠不足に陥ったマウスを準備し、その摂食行動を観察した。

 すると、下に示すように、レム睡眠が不足したマウスでは、砂糖と脂質の摂取量が増えた。また、マウスに遺伝子の改変を施すなどして、前頭前皮質の神経活動を抑えたところ、レム睡眠の量が不足していても、砂糖の摂取量は増加しなかったが、脂質の摂取量は神経活動の抑制に影響されず増加した。

                                  (筑波大学HPより)

 このことから、睡眠不足のときに、砂糖たっぷりの甘いものが食べたいという欲求は、脳の前頭前皮質によって直接コントロールされている可能性が示された。

 今回の結果は、レム睡眠と前頭前皮質、食べ物の好みとの直接的なつながりを示した初めての成果だという。

 研究グループは「レム睡眠量の減少が代謝やエネルギーバランスに悪影響を与え、体重増加につながる可能性があることが分かった」と今回の研究結果を振り返った。さらに、糖尿病や心臓・血管の病気など、肥満と密接に関連する病気が増加の一途を辿っている点について触れ、「大きな経済的損失を招くかもしれず、社会的にも問題だ。レム睡眠は年とともに減ることから、高齢社会でわれわれが健康的な食行動を取れるよう、神経に対する薬物治療の模索を含め、新たな戦略が必要だ」と、今後の展開に期待を寄せた。

(あなたの健康百科編集部)

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