DHA含む栄養が、早産児の呼吸困難を招く
2017年04月18日 06:00
妊娠37週を待たずに早産になってしまった場合、生まれてくる赤ちゃんは体の機能が未熟なため、さまざまな新生児医療が施されるが、栄養管理もその1つだ。このたび、オーストラリアのアデレード大学などの研究グループが、早産児の栄養に関する研究を行い、その結果を報告した。それによると、妊娠29週未満で生まれた早産児に、ドコサヘキサエン酸(DHA)を含む栄養剤を腸から投与すると、呼吸困難を伴う「気管支肺異形成症」の発症リスクが増大する可能性があることが分かったという。研究の詳細は、3月30日発行の医学誌「The New England Journal of Medicine」(2017;376:1245-1255)に掲載されている。
DHA栄養群の気管支肺異形成症のリスクは1.13倍
気管支肺異形成症は、肺の未熟な早産児に発症する呼吸器の病気で、ぜんそくのようにヒューヒュー・ゼーゼーして呼吸が苦しくなったり、酸素吸入を必要とするような呼吸困難に陥ったりする。
これまでの動物や人間を対象とした研究からは、DHAが気管支肺異形成症のリスクを低下させる可能性が示されてきた。
そこで今回、研究グループは、妊娠29週未満で生まれた早産児を、DHA60mg/㎏/日を含む栄養剤を与えるグループと、DHAを含まない栄養剤を与えるグループの2つに分け、母親の最終月経開始日から数えて36週に至るまで、または退院するまで、腸から栄養を投与。その後、気管支肺異形成症の有無について調べた。
気管支肺異形成症の有無を調べることができた早産児は1,205人。気管支肺異形成症があると判断されたのは、DHA栄養群592人中291人(49.1%)。これに対し、非DHA栄養群では613人中269人(43.9%)だった。両群を比較したところ、DHA栄養群は、非DHA栄養群より、気管支肺異形成症の発症リスクが1.13倍高い結果になったという。
一方で、死亡率や新生児に多いその他の病気の発症率には、両群間に統計学的に意味のある大きな差は見られなかった。
(あなたの健康百科編集部)