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身長が低いと妊娠高血圧が高リスク

 2017年04月25日 06:00

 妊娠高血圧症候群は原因がはっきりしていないので、確実に予防する方法はないという。しかし、赤ちゃんに送る酸素や栄養が不足して赤ちゃんが十分に育たなくなる「胎児発育不全」「胎児機能不全」などを引き起こし、体重が少ない低出生体重児になったり、低酸素症で脳に悪影響を残したりする場合もあるため、普段からの対策や予防が必要となる。妊娠高血圧症候群のリスクは何なのか―このたび、国立成育医療研究センターの研究グループは、妊婦の身長と妊娠高血圧症候群とのリスクには関連があり、身長が低いほど発症リスクが高いことを医学誌「Pediatric Perinatal Epidemiology」(2017 Mar 20)に発表した。

妊娠高血圧症候群1.35倍、常位胎盤早期剥離1.20倍、SGA1.09倍のリスクに

 これまで、妊娠高血圧症候群のリスク因子として初産・多胎妊娠・肥満などの因子が報告されてきたが、その中で妊婦の身長と妊娠高血圧の関連を調査した報告は少なかった。

 一方で、一般成人では低身長が将来の高血圧のリスクになることが知られていて、研究グループはこの点から同様の機序で低身長が妊娠高血圧のリスクになる可能性があると推測した。また、低身長では将来の虚血性心疾患のリスクが高いとされており、妊婦においては虚血性胎盤疾患に分類される常位胎盤早期剥離とSmall for gestational age (SGA:週数にしては小さい児)のリスクも、同様に高いのではと推測したという。

 常位胎盤早期剥離は、分娩前に胎盤が剥離してしまうため、緊急帝王切開などで直ちに分娩しなければ胎児死亡に至る疾患。SGAは、子宮内で胎児の発育が遅れ、分娩週数の平均体重よりも著しく小さく出生するため、将来の疾患のリスクになるという。 

 研究グループは、日本産科婦人科学会のデータベースを利用して、2005~11年に出産した妊婦約22万人超のデータを、妊婦の身長によって4グループに分けて解析した。

 初めからリスクの高い症例が多数含まれている場合や、データに不備がある症例は正しい解析の障害になるため多胎妊娠、合併症妊娠、胎児形態異常、流産、過期妊娠、データ不備症例を除外して解析した。

 その結果、154センチ以下の低身長の妊婦は162センチ以上の高身長の妊婦に比べて、妊娠高血圧症候群が1.35倍、常位胎盤早期剥離1.20倍、SGAのリスクが1.09倍高かった。

 この成績は、他の要因の影響を除外しても同様で、例えば初産婦でも経産婦でも、身長と妊娠高血圧症候群のリスクは有意な相関関係を示していた。

 さらに、例えば肥満体型でもやせ体型でも身長と妊娠高血圧症候群のリスクは有意な相関関係があり、両者は妊娠歴・肥満度・年齢に左右されず、同様の傾向を示すことも明らかになったという。

(あなたの健康百科編集部)

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