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禁煙すると発症しやすくなる病気?

 2017年08月21日 06:00

 酒さ(しゅさ)性皮膚炎という病気をご存じだろうか?原因不明の慢性の皮膚疾患で、顔の中心(鼻、ほほ、あごなど)に潮紅や紅斑、毛細血管拡張、丘疹や膿疱などの症状が生じる。赤ら顔になることから、女性の悩みは深刻だ。このたび、たばこと酒さについて興味深い研究結果―女性では過去の喫煙歴が酒さの発症しやすさと関連する―と米国の研究グループが医学誌「American Journal of Epidemiology」(2017;186(1):38-45)に発表した。

元喫煙者でリスク高く、現喫煙者でリスクが低くなる

 研究グループは、1991~2005年の「Nurses' Health Study Ⅱ」に参加した女性9万5,809人を対象に、喫煙と酒さの発症リスクを検討した。追跡中2年ごとに喫煙状態を調べ、最終的に2005年に酒さの診断歴と診断年の情報を収集した。追跡期間中に5,462人が酒さを発症していた。

 解析の結果、非喫煙者に比べ元喫煙者は酒さのリスクが1.09倍となった。さらに、1日に吸う本数が25本以上であった元喫煙者ではリスクは1.29倍となり、本数が多いほどリスクは高くなる傾向があった。また、喫煙をしていた累積年数が多いほど、リスクは増加していた。

 一方で、現喫煙者ではリスクが0.65倍と低下していた。さらに、1日1~4本の喫煙者ではリスクは0.91倍、25本以上だと0.67倍と喫煙者では一日に吸う本数が多いほどリスクが低下する傾向があった。また、10年以上の喫煙歴で0.85倍、25年以上だと0.56倍と累積の喫煙年数が多いほど、酒さを発症するリスクの低下と関連していた。

 酒さのリスクは禁煙後3~9年間に顕著に高くなった。禁煙後30年以上を経過しても、この関係性は変わらなかったという。

酒さと喫煙の不思議な関係の謎

 たばこと病気の関係については、例えば、乾癬などの炎症性疾患、クローン病などのリスクを高めるが、対照的に、潰瘍性大腸炎やサルコイドーシスなどの疾患は喫煙がリスク低下にある一定の効果を発揮しているとの報告もある。

 酒さとたばこの関係でも興味深い関係性が今回の研究で示された。こうした「元喫煙者でリスクが高くなり、現喫煙者でリスクが低くなる」といった結果は、本研究以外にも2~3の研究で示されているという。

 研究グループは、その理由は明らかではないとしつつも、喫煙によって微小血管が収縮し、酒さと関わりの深い血管拡張反応が弱まる。喫煙で免疫系が低下し、炎症反応が減少するといったメカニズムが想定されているとしている。

 元喫煙者では、そうした血管拡張や免疫抑制のリバウンドが生じて、酒さが増えるのではないか。あるいは、ホルモンの影響である可能性も否定できないとしている。いずれにせよ、酒さの原因解明は今後の大きな研究課題となる。

(あなたの健康百科編集部)

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