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お医者さんが食塩無添加で調理!

 2018年03月22日 06:00

 「減塩」の文字が入った醤油、味噌などの調味料や外食産業のメニューをよく目にするようになった。塩分を取りすぎると、脳卒中や腎臓病などの原因である高血圧を引き起こすため、日本高血圧学会や日本高血圧協会では減塩を勧めている。しかし減塩ならぬ、食塩無添加食を自ら料理するドクターがいる。日本高血圧協会の公式サイトで、そのブログが紹介されている。

2014年3月から食塩無添加を実践中

 ブログ「食塩無添加日記」の著者は、滋賀医科大学アジア疫学研究センター・特任教授で同医科大学名誉教授の上島弘嗣氏だ。専門は循環器疾患・生活習慣病の疫学と予防医学で、日本を代表する著明な医師・疫学者である。

 同氏が2014年3月から取り組んでいるのが食塩無添加食、つまり食塩が入っている調味料を一切使わない食事の摂取。そのきっかけは、持病の心臓病で足に浮腫ができたこと、主治医からもっと減塩するように勧められたことなどだという。

 同氏は、疫学者として自身の塩分摂取量を見たところ、家庭での料理に食塩の入った調味料を原則使わないようにしなければ簡単には減らせないことに気付いたのだ。

決め手は素材と無塩調味料

 とはいえ、食塩抜きの食事に対する上島氏の正直な気持ちは、「まずいだろうな」「悲惨だろうな」というものだった。

 ところが、実践から1カ月も経たないうちに、食材の本来のおいしさを楽しめるようになり、「おいしい」と感じるように。食塩無添加食の実践から3年経った昨年(2017年)には、妻の手を借りずに自分でつくれるようになり、料理も楽しくなってきたことをブログで明かした。

 同氏が写真付きで紹介するメニューは、イカミンチハンバーグ、鰯フライのゴーヤ豆腐サラダ、豆腐グラタン、カレーライス、牛乳ポタージュなど。種類が豊富で、食塩無添加食イコール味気ない、というマイナスのイメージは伝わってこない。

 4年間も食塩無添加食を続けられるこつはなんだろうか。本来のおいしさを楽しめる食材の他に、味の決め手となるのはオリーブオイル、ごま油、こしょう、七味、わさび。さらに、うま味のあるエビや魚のアラなどだという。例えば、牛乳ポタージュには牛乳、豆腐、玉ねぎに加えて、うま味として甘みのあるサツマイモを使っている。

食塩摂取量の多い日本、減塩が大事

 ところで、食塩無添加食を実践した結果、上島氏の血圧値はどう変化したのだろうか。

 同氏によると、血圧が上昇しやすい寒い冬でも上の血圧は120mmHg前後に収まり、降圧薬は半分に減らすことができた。足の浮腫も出なくなったという。

 日本には高血圧患者が約4,300万人いるといわれている。高血圧は、健康寿命に影響する脳卒中、心筋梗塞、腎不全、認知症などに関連する。にもかかわらず、高血圧患者の75%は血圧が高いままで、管理状況は不十分だ。

 日本高血圧協会は、市民公開講座を中心とした活動を通して、高血圧の予防や治療への理解を広めている。特に食塩摂取量の多い日本では、減塩への取り組みが大切であると訴えている。

 いきなり食塩無添加食となると、尻込みしてしまう読者は多いだろう。しかし同協会が強調するように、大事なのは減塩し高血圧を是正すること。減塩への取り組みとして、「運ばれてきた食事に、塩や醤油を追加するのを止めてみる」ことならできるのでは? 

*地域や職業などの多人数の人間集団で発生する病気や事故が起こる頻度やその要因を明らかにし、健康対策に役立てる科学

(あなたの健康百科編集部)

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