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きれい好きの女子は危ない!?

 2018年04月02日 06:00

 ドラックストアやスーパーなどには、さまざまなタイプの掃除用洗剤が並んでいる。多くの人がごく普通に、こうした洗剤を使って掃除をしているだろう。このたび、ノルウェーなどの共同研究グループが、ちょっと気になる研究結果を報告した。週1回以上の掃除用洗剤の使用は、女性の長期的な肺機能の低下に影響を及ぼすことが分かったという。研究の詳細は、2月16日発行の医学誌「The American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」(電子版)に掲載されている。

女性では、週1以上の洗剤使用で呼吸機能の低下が加速

 掃除をするときに使う洗剤の多くには化学物質が含まれ、私たちの呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性がある。これまでに、家で掃除をする人や清掃の仕事についている人は、せきやたんといった呼吸器症状やぜんそくのリスクが増加するといった研究結果が報告されている。しかし、呼吸器系に対する洗剤の長期的な影響については、十分な説明がされているとは言えない。

 そこで今回、研究グループは、家での掃除や清掃の仕事による肺機能への長期的な影響を調べた。

 対象者は、欧州で行われた呼吸器に関する健康調査「ECRHS」の参加者から抽出した。ECRHSは1990年に始まり、20~44歳の一般住民を20年以上にわたり追跡した多施設研究だ。

 対象となったのは、少なくとも1度は肺機能測定を行い、かつ清掃活動に関するアンケートに回答していた男女6,230人。追跡開始時の平均年齢は34歳だった。

 アンケートの結果、日ごろ家で掃除をしていると回答したのは、女性が85.1%だったのに対し、男性は46.5%だった。清掃の仕事についていたのは女性8.9%、男性1.9%だった。

 年齢や身長、BMI、学歴などを調整した上でデータを解析した。肺機能は年齢に伴い低下するものだが、家で掃除をしている女性および清掃員として働く女性は、思いきり息を吸い込んだ後に、勢いよく吐き出すことで得られる努力性肺活量(FVC)の低下が、掃除をしない女性に比べて顕著だった。FVCのうち、最初の1秒間に吐き出した空気の量を1秒量(FEV1)と呼ぶが、こちらもFVCと同様、掃除をしない女性に比べて、家で掃除をしている女性と清掃員として働く女性でともに低下が著しかった。一方、男性では、家事としてでも仕事であっても、掃除をする人の肺機能の低下が、掃除をしない人に比べて加速することはなかった。

 また、掃除用の洗剤を週1回以上使用している女性は、洗剤がスプレータイプか否かにかかわらず、掃除をしない女性に比べて、FEV1の低下が著しく加速していた。FVCの低下に関して明らかな加速が見られたのは、スプレータイプではない洗剤を週に1回以上使用している女性に限られた。男性では、スプレータイプ、スプレー以外のタイプともに、洗剤の使用による肺機能の低下は見られなかった。

 ぜんそくやCOPDなどで見られる慢性的な気道の閉塞に関しては、男女とも家事、仕事によらず、掃除によるリスクの上昇はなかった。洗剤のタイプがスプレーかどうかも同様に、慢性気道閉塞のリスクとは関係しなかった。

 20年以上の追跡調査によって、掃除をする女性はFVCとFEV1の低下が加速すること、慢性の気道閉塞の加速は見られないことが示された。今回の結果について、研究グループは「洗剤に含まれる刺激物によって気道が炎症を起こす可能性は高く、洗剤を使った掃除と呼吸機能低下には、因果関係があると考えるのが妥当だろう。家事であっても、仕事であっても、掃除は女性にとって、長期的な肺機能の低下という点で健康のリスクとなりうる」との考えを示した。さらに「掃除をするときは、気管が有害物にさらされないよう防御する必要がある」と述べた。

(あなたの健康百科編集部)

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