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糖尿病の母から出生した児は自閉症リスクが高い

 2018年08月10日 06:00

 米国の研究グループは、米・Kaiser Permanente Southern California(KPSC)関連病院で出生した児のデータを後ろ向きに解析し、糖尿病の母親から自閉症スペクトラム障害(ASD)児が生まれるリスクを検討した。その結果、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠26週までに診断された妊娠糖尿病の母親から出生した児はASDリスクが上昇することが示されたと、医学専門誌JAMA2018; 320: 89-91)に報告した。

1型糖尿病でASDリスクが2倍超に

 ASDとは、従来からの自閉症とより軽症の状態を連続体(スペクトラム)として捉える診断名である。母親の2型糖尿病と妊娠26週までに発症した妊娠糖尿病は、児のASDのリスクを上昇させることが報告されているが、母親の1型糖尿病と出生児のASDの関連についてはほとんど知られていない。

 研究者らは、1985~2012年に米国の民間ヘルスケアシステムであるKPSCの関連病院で妊娠28~44週で生まれた単胎児を対象に、1歳から試験最終日(2017年12月31日)までの電子健康記録を後ろ向きに追跡し、ASD発症のリスクを求めた。

 また、母親が妊娠中に糖尿病治療薬を使用した割合は、1型糖尿病および2型糖尿病で100%、妊娠糖尿病で29%であったことから、糖尿病治療薬曝露による潜在的リスクも合わせて検討した。

 研究条件を満たした41万9,425人の児(男子51%)の母親のうち1型糖尿病は621例、2型糖尿病は9,453例、26週までに診断された妊娠糖尿病は1万1,922例、26週以降に診断された妊娠糖尿病は2万4,505例だった。

 中央値で6.9年の追跡期間中に5,827例がASDと診断された。児1,000人当たりのASD罹患率は母親が1型糖尿病では4.4人/年、2型糖尿病では3.6人/年、26週までに診断された妊娠糖尿病では2.9人/年、26週以降に診断された妊娠糖尿病では2.1人/年、非糖尿病では1.8人/年だった。

 非糖尿病の母親から出生した児と比べたASD発症リスクは、1型糖尿病の母親から出生した児では2.36倍、2型糖尿病の母親では1.45倍、26週までに診断された妊娠糖尿病の母親では1.30倍と有意な上昇が見られたが、26週以降に診断された妊娠糖尿病の母親から出生した児では有意な上昇は見られなかった。

 妊娠糖尿病群において、妊娠中の糖尿病治療薬使用の有無で検討したところ、児のASD発症リスクに有意差は認められなかった。

 研究グループは「今回の研究の結果、母親の糖尿病と児のASDの関連について、母親の1型糖尿病による児のリスク増加の知見が新たに追加された。なお、妊娠26週以降に診断された妊娠糖尿病ではリスク上昇が認められなかった。母親の糖尿病の重症度と児の糖代謝異常への曝露時期が、ASD発症リスクと関連している可能性がある」と考察している。

(あなたの健康百科編集部)

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